《感想》◆約束の海◆
山崎豊子先生の未完の遺作!父と子の約束の答えとは!

読書感想小説人生・人間ドラマ

「約束の海」

約束の海:山崎豊子
約束の海:山崎豊子

山崎豊子先生、未完の遺作
父と子の約束
その答えを出すのは読者

約束の海:読書記録
約束の海:読書記録

「約束の海」について

この作品は、山崎豊子先生の未完の遺作です。第一部までは作品として発表されていますが、その後、第二部を完成させて出版されることはありませんでした。この文庫本の最後に「約束の海」、その後―として「山崎プロジェクト編集室」の方たちによって、先生が残された情報収集の資料や大まかな構想から、第二部以降の流れを簡単に公開されています。

山崎豊子先生が最後に残された作品ということもあって、この作品は2回読みました。結構前に1回目を読み、今回2回目を読んでから、感想を書こうと思いこうやってブログに読書感想を公開しています。

この作品では海上自衛隊員である主人公の人生を描いています。海上自衛隊潜水艦に乗っていて彼自身に起こった、遊漁船と衝突するという海難事故、そして、彼の父親の身に起こった過去の出来、彼の恋人の存在などを描きながら、主人公が悩みながらも強く生きていこうとする姿を描いています。

未完の作品とされていますが、実際に出版された第一部のこの作品だけでも、充分にその内容の深さを感じることが出来、作品として成り立っていると感じます。もちろんその先を期待せずにはいられない終わり方となり、未完であると感じますが、この第一部で作られた内容だけでも登場する人物の魅力や、その感情の様子など、色々と面白さを感じることが出来ます。

ある事故をきっかけに見えてくる人間性

本作品でも、山崎豊子先生の特徴である人間関係における、人間の心の様子が実に繊細でその様子をリアルに想像できるように描かれています。主人公の男性は海上自衛隊員で潜水艦に乗っており、その潜水艦と遊漁船の衝突という事故に遭います。その事故で彼自身や潜水艦に乗っていた仲間たちも心を痛め、多くの悩みを抱えながら生きていく事になります。

そのような背景で繰り広げられる人間たちが描くドラマ。その事故をしっかりと受け止める海上自衛隊員たち、その事故を違った本質へと導くことを考える人間、悩んでいる人間に手を差し伸べる人間、それを優しく見守る人間、いろんな人間の人間性を実にうまく描いています。

実際にその経験をしてきたのかと思えるような描き方です。まさに山崎豊子先生の想像力や感性というものの凄さを実感できます。これからもまだまだこういった人間ドラマを濃く描いた作品を書いて欲しかったという気持ちがどんどん湧いてくる作品です。



「約束の海」を読んで!まとめ

本作品に限らず、山崎豊子先生が描く物語は実に壮大で繊細、とてもデリケートな題材を誰もが体感できるように描かれています。この作品も戦争というものが背景にあり、その戦争と日本、そして自衛隊というものの関係性、それに関係している人間たち、それらすべての関係を大きなスケールから、実に細かな人間の心情までを読者を飽きさせないように描き、読者はその光景を感じることが出来ます。

この作品では自衛隊の存在というものの存在を国民に分かりやすく感じることが出来るように描いているとも感じました。とても難しい分野を、しっかりと情報収集して描く、本来難しい分野の話を、我々読者が理解できるように書いてくれる。山崎豊子先生に作品からは、面白さはもちろんですが、色々な知識を得ることが出来ます。

戦争や、国のこと、壮大なスケール感を背景に持ちながら、人間ドラマを描く、自分のことのように感じながら読める山崎豊子先生の小説がとても好きです。この作品が未完の遺作とされていますが、この第一部だけでもとても深みを感じることが出来る作品です。

しかし、確かに続きが読みたくなるという気持ちは隠せません。山崎プロジェクト編集室の方たちがその先を書いてくれていますが、それを読めば読むほど、山崎豊子先生が描いたその後を読んでみたかったと強く感じます。

主人公と、主人公の父親の関係。父親の過去にあった出来事。そこに交わされた男同士、親子の間の約束。その約束の答えは、この作品の結末で明らかになるはずだった。しかし、それは、その答えは分かりません。山崎豊子先生が出した、読者に伝えたかった約束の答えは知ることが出来ません。

先生が描いた約束の答えを知りたかったという気持ちもありますが、私はこう考えました。その答えは読者それぞれが描く、その後の中から出せばいいと。これが先生が残した遺作、この「約束の海」のラストになるのではないかと。そしてこの遺作は、誰もに真似できない作品になるのではないだろうか。

その答えを出すために、この作品は第一部はもっともっと何度も読んでいこうと思っています。私の中で忘れられない作品の1つであることは間違いありません。

「約束の海」SNSでの反応!

SNSに投稿されている「約束の海」に関する投稿を見つけましたので掲載しています。

沢山の投稿がありましたが、その中から心に残った投稿を掲載させていただきました。

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今回当ブログで紹介させていただくことを許可していただきありがとうございました。
いちご」さん、「」さん!
今後も投稿楽しみに拝見させていただきます。

「約束の海」を読んでみたくなったらコチラ!

約束の海

昭和を代表する作家「山崎豊子」先生の
最後の長編小説!
☆未完の名作!
☆山崎豊子
☆新潮社

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