心情・思想

読書感想

《感想》◆失はれる物語◆
その物語には切ない意味が隠されている

乙一先生の魅力がたっぷりと盛り込まれている短編集!7作の短編小説に書下ろしの作品1作を加えて、全8作品を収録!乙一先生の魅力をサッと感じてみたいと思っている方にもおすすめ!乙一先生の独特の世界観で描かれる作品を一気に楽しめる短編集です!
ミステリ―人生・人間ドラマ心情・思想読書感想小説
短編集乙一角川文庫
読書感想

《感想》◆死にがいを求めて生きているの◆
争わずに生きる方法を探す。血に惑わされずに生きられるか

中央公論新社「螺旋プロジェクト」という壮大な物語の「昭和後期」の時代を描いたシーソーモンスターと「近未来」の時代を描いたスピンモンスターの2作が収録されている作品!この作品では、海族と山族の関係に翻弄される嫁姑の関係を描いています。実に面白い着目点で軽快に物語が進んでいきます。伊坂先生の特徴が感じられる素敵な作品!
読書感想小説青春歴史・時代人生・人間ドラマ心情・思想
中公文庫螺旋プロジェクト朝井リョウ
読書感想

《感想》◆愚行録◆
誰が本当のことを言っているのか!
人の隠された愚かさが見える!

一家を襲った残忍な殺人事件。被害者の知り合いに取材を申し込む記者が、その知り合いたちの証言を聞きながら進む物語。人間の愚かな行動、愚かな考えが見える。一体だれがあの家族を殺したのか、あの家族は殺されて当然だったのか。取材をするうちに見え隠れする被害者の素顔、そして知り合いたちの本性。人間の心の深くにある感情に迫る作品!
読書感想小説ミステリ―心情・思想サスペンス
貫井徳郎創元推理文庫
読書感想

《感想》◆暗いところで待ち合わせ◆
盲目な女性と殺人容疑の男との奇妙な同棲

盲目な女性と殺人容疑のかかった男性との奇妙な同棲を描いた作品。乙一先生の特徴がよく表れた作品!タイトルや表紙からは、想像もつかないような物語で読者の気持ちを離さない!乙一先生の世界に嵌るきっかけになった作品です!
サスペンス読書感想小説ミステリ―心情・思想
乙一幻冬舎文庫
読書感想

《感想》◆東京百景◆
現れた新たな人格、その存在に恐怖する!

私が好きな作家さん又吉直樹先生。又吉先生の作品で何が好きかというと先生が描く、人の心。心情の変化を描くのがとても絶妙というか繊細で思わずうなずいてしまうくらい共感できる。その様子が手に取るように伝わってくるそんな表現です!上京した時の心情を面白く、そして繊細に描く、エッセイ集!思わず笑ってしまうそんな優しい作品!
読書感想小説青春人生・人間ドラマ心情・思想
又吉直樹角川文庫
読書感想

《感想》◆夜が明ける◆
困っている人を助ける、それは当たり前のこと

西加奈子先生の長編小説が5年ぶりに登場!2022年本屋大賞ノミネート作品に選ばれた「夜が明ける」。まちにまった作品をついに読み終えました。西先生らしい、人間の心の繊細な部分から、今の世の中に対しての不安を実にうまく表現しています。さすがノミネート作品!読んでよかったと思える名作でした!是非多くの人に読んで欲しい!
読書感想小説人生・人間ドラマ心情・思想
西加奈子本屋大賞新潮社
人生・人間ドラマ

《感想》◆虚ろな十字架◆
この問いには、模範解答はあるのか?

人を殺した者は、どう償うべきか、死刑が正しい方法なのか、たぶん模範解答はない。死刑判決が出れば被害者の家族は納得できるのか。自分が犯した罪にどう向き合ってい償っているか、それは誰にも分からない。死刑制度という難しいテーマを大胆に描いた作品。自分自身の考えに問いながら読み進める作品です。
人生・人間ドラマ心情・思想サスペンス読書感想小説事件・裁判
東野圭吾光文社文庫
読書感想

《感想》◆BUTTER◆
会う人を洗脳する彼女の存在とは!そしてその本性とは!

高齢の男性を自殺と見せかけて殺害した容疑をかけられた女性は、会う人を洗脳していく。実際にあった事件をモデルにしていると言われるこの作品が魅せる、人間の心の奥底に眠る誰にも言えない感情。徐々にそれを自分自身も認めて、前を向こうとする人間の心情の変化と料理のリアルな描写が読む人を引き込んでいきます。
読書感想小説心情・思想
柚木麻子新潮社
読書感想

その世界は本当に消えてしまっていい世界なのか
【消滅世界】

夫婦間のセックスがタブーとされ、家族という形も大きく変わってしまう未来の世界。今の世界を生きる私たちの感覚でこの作品をどう受け入れ、どう読むか。私たちが住むこの世界がこうなってしまうのか。消滅する世界を完全に消滅させることが出来るか。人間の本能と人工的な変化の静かな葛藤が描かれる。人間はどう順応していくのか!
読書感想小説心情・思想
村田沙耶香河出文庫
読書感想

理解しなくていい、ただそっといておいて欲しい
【正欲】

理解してほしい訳じゃない。ただそっとしておいて欲しい。想像できないことはこの世の中に多く存在しているということを思い知らされる作品。今までの自分の中の考えを新しい考え方へと導く作品。肯定的な傑作と捉えるか、否定的な問題作だと捉えるか、現代の多様性が網羅できていない世界の存在を知ることになる。
読書感想小説心情・思想
本屋大賞朝井リョウ新潮社
読書感想

私の推しがファンを殴って炎上しました・・・
【推し、燃ゆ】

第164回芥川賞受賞作品!2021年本屋大賞9位の入賞!話題の「推し、燃ゆ」の読書感想文です。現代の推しとファンの関係、ファンの少女の心情の変化を実にリアルにそして、テンポのいい文章で描いていく。まさに現代のリアルを細かく忠実に表現した作品だと感じました。納得の表現力で読者をその世界に引き込みます!
読書感想小説人生・人間ドラマ心情・思想
本屋大賞芥川賞宇佐見りん河出書房新社
小説

その圧倒的な魅力の前に人は自分の行動を制御できるか
【銃】

人は圧倒的な魅力に出会った時、自分の変化をどう受け止めていくのか。越えてはいけないラインがあったはずなのに、そのラインを越える理由を探すその心理。誰にも言えない思考を頭の中で廻らせながら、その行動を正当化していく、正当化されたその魅力に人は抗うことができるか。その魅力に支配された人間が最後にとった行動とは。
小説心情・思想読書感想
新潮新人賞中村文則河出文庫
読書感想

暴力に支配された辛い記憶、それでも生に向かい、そして見た光
【土の中の子供】

幼い頃に大人による壮絶な暴力を受けた子供、その子供は大人になりながら、記憶の中にある、心に残る暴力の記憶と向き合いながら生きる。暴力を受けた若者の心を実に繊細に描く作品です。暴力がどれほど人の心を乱し、壊し、支配していくか、その中でも希望という光を見つける。深く考えさせられる作品です。
読書感想小説心情・思想
中村文則新潮文庫
人生・人間ドラマ

人類滅亡!残された時間で人は本当に生きる意味と出会う
【滅びの前のシャングリラ】

「地球に小惑星が衝突します!」人間が経験したことのない世界を背景に、人は自分が生きるという、幸せという本当の意味を探し始めます。人類滅亡までの短い時間に、人は生きる意味が何かを見つけ出せたのか。凪良ゆう先生、本屋大賞受賞後の待望の一冊!
人生・人間ドラマ心情・思想読書感想小説
凪良ゆう中央公論新社
読書感想

人間にとって「生」とは、究極の選択の結末とは
【最後の医者は桜を見上げて君を想う】

人は最後を迎える時、その最後の迎え方をどうするか考える。その最後の迎え方は、一体だれが決めるのか、そしてそれに満足できる正解はあるのか。自分の最後に向き合う患者と、その最後を握る医者の複雑な思いが交錯する作品。そこに正解はあるのか!
読書感想小説心情・思想泣ける・感動
二宮敦人TO文庫
読書感想

「この世界にアイは存在しません。」
【i】

「この世界にアイは存在しません。」という衝撃的な言葉から始まるこの小説。人生の意味、自分の存在の意味を考えさせられます。誰もが心の中に感じている、人には伝えることが難しい感覚。そんな感覚を持った少女の自分の感情に対する答えを見つける人生が優しく描かれています。
読書感想小説人生・人間ドラマ心情・思想泣ける・感動
ポプラ文庫西加奈子
読書感想

おめでとうございます、抽選に当たりました!
【カラフル】

「おめでとうございます、抽選に当たりました!」という何とも嬉しくなるようなセリフから始まります。しかもそのセリフは天使のセリフ、何だかいい事がありそうな感じです。書名も「カラフル」ととても明るい印象を受けますね。しかし、抽選に当たったのは死んだはずの人間の魂。大きな過ちを犯して死んだ罪な魂です。その魂が一体なんの抽選に当たったのでしょう!人生。人間関係が分かる。
読書感想小説人生・人間ドラマ心情・思想
文春文庫森絵都
読書感想

きっと報われる日が来る泣き笑いの日が
【輝く夜】

本書は輝く夜、クリスマスイブに女性に訪れた幸せになれる奇蹟を描いた短編集。非常に読みやすい5編からなる泣ける奇蹟の物語です。著者は「永遠の0」や「海賊と呼ばれた男」を描いた百田尚樹さんです。結構スパッとした男目線の小説が多いと思っていましたが、本書の様な女性的な綺麗さのある作品も魅力的です!女性は勿論男性でも十分楽しめる作品です。
読書感想小説心情・思想泣ける・感動
百田尚樹講談社文庫短編集
心情・思想

8本のワインと普遍的な女!
【ワイン一杯だけの真実】

本書は何らかの力をもった8本のワインと、そのグラス一杯のワインの中に真実を見つける、普遍的な女性で描かれた短編集です。8種類のワインと女性の官能的な表現の絡み、関係が不思議な人間の表現で引き込まれていきます。難しい!まったく分からない!という方にも解説がありますので分からない!という方は解説から読んでみるのもおススメ!
心情・思想読書感想小説
短編集村上龍幻冬舎文庫
読書感想

人間の奥底を独特な言葉で描く!
「何もかも憂鬱な夜に」

本書は著者の独特な言葉使いで、人間が口には出さずに心の中で思っていることを表現している場面が多いです。まさにこの著者の特徴だと思います。全ての人がそう感じているワケではないですが、ある人の心の中の声が実に不思議な感覚で表現されています。著者の独特な表現の世界に引き込まれていきます。「死刑」という死を背景にしながら、実は生きるということであったり、人間が芸術に触れるということなどを伝えている作品です。
読書感想小説人生・人間ドラマ心情・思想
中村文則集英社文庫