《感想》◆虚ろな十字架◆
この問いには、模範解答はあるのか?

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「虚ろな十字架」

虚ろな十字架_東野圭吾
ろな十字架_東野圭吾

人を殺した者は、どう償うべきか。
この問いに、たぶん模範解答はないと思います。

虚ろな十字架_読書記録
虚ろな十字架_読書記録

「虚ろな十字架」について

この作品は、ガリレオシリーズの作者「東野圭吾」さんの書下ろし長編サスペンス小説です。
刊行されたあとにはオリコンチャートBOOK総合部門ランキングで1位になるなど人気の作品となっています。

内容としては、「死刑」の是非についての考え方などがあり、難しくデリケートなテーマについて描かれています。
強盗によって何の罪もない幼いわが子を殺害され、人生を大きく狂わされた夫婦。

犯人は捕まり、たとえ死刑になったとしても娘が戻ってくることはない。
また昔のように楽しく家族で暮らせるようになることはない、これからまだまだ長く明るい人生があったはずの娘を思えば思うほど「死刑」というものが分からなくなる。

「死刑」というものに真剣に向き合ったときの被害者家族と加害者側の家族、そして加害者の複雑な心情を描いた作品です。
読みながら「死刑」に対する自分自身の考え方についても、改めて考えさせられる作品です。

「償う」とは何をどうすればいいのか!

本作品は、犯罪を犯した加害者、そして加害者家族、被害者と被害者家族、そして弁護士と検察。
「罪」と、その「罪」を償わせようとする人たちの複雑な関係を描いています。

罪を犯した者にも色々な人間がいます。

  • 自分が犯した罪を心から反省し、後悔している者
  • 反省もなく、ただただ刑務所で過ごす者
  • 反省した素振りを見せて、模範囚として出所する者
  • まったく反省の素振りも見せない者

加害者の本心は、加害者本人にしか分かりません。
反省も、後悔も何もないという状態で、刑務所で刑期だけを終えて何の意味があるのかと感じてしまいました。

反省して刑期を終えたからといって被害者や被害者の家族の気持ちが晴れるということはありません。
刑務所で刑期を終えることが、果たしてその罪を償ったと言えるのか、とても考えさせられました。

それでは、刑が極刑の「死刑」になった場合はどうでしょう。
気持ちが晴れるまではいかなくても、少し気持ちが楽になるということはあるかもしれません。
しかし、それでも被害者や被害者の家族は気持ちが完全に晴れることはないでしょう。

作品の中に

それぞれの事件には、それぞれにふさわしい結末があるべきーーー。

東野 圭吾「虚ろな十字架」光文社文庫 2017.5.20 P.158

という言葉があります。
本当にその通りで、それぞれの状況や被害者やその家族の心情に合わせて、償い方などを決めるべきだと感じました。
被害者たちが参加できないような裁判ではなく、被害者たちにもっと寄り添った裁判であるべきだと感じました。



「虚ろな十字架」を読んで!まとめ

本作品は、本当に難しいテーマについて書かれた作品でした。
「死刑」という極刑にどんな意味があるのかをもう一度考えさせられました。

死刑という形で償うということで果たして遺族は納得できるのか、その時はそれで納得できたとしても、決して殺された子供は帰ってこない。

死刑に納得しないという遺族もいる。
死刑でも足りないというのが本音だと思う。

それではどんな形で罪を償えば、遺族は納得できるのか、日本の刑法で決まっている方法では納得できる結果は望めないと思う。
それぞれの事件にはそれぞれの被害者、遺族がいて、その方たちが納得する形は、それぞれ違うのだと思う。

しかし、どんな形で償われたとしても、納得できることはないと思う。

死刑は無力です。

東野 圭吾「虚ろな十字架」光文社文庫 2017.5.20 P.165

何の反省もないまま死刑になる、刑期を終えるではもはや意味はないのです。

つまり「虚ろな十字架」に縛りつけても意味がないのだと感じました。

この作品中にあった言葉

「人を殺せば死刑ーーーそのようにさだめる最大のメリットは、その犯人にはもう誰も殺されないということだ。」

東野 圭吾「虚ろな十字架」光文社文庫 2017.5.20 P.174-175

確かに言えることは、このことだけではないだろうか。

人を殺した者は、どう償うべきか。この問いに、たぶん模範解答はないと思います。

東野 圭吾「虚ろな十字架」光文社文庫 2017.5.20 P.345

そう思います。
どんなに考えても、模範解答は見つからないと思いました。

加害者の反省の深さ、そして被害者の心情。
このどちらも本人にしか分かりません。他人ではそれを正確に測ることは出来ません。

人間が人間に対して完璧な審判を下すことは不可能だと思いました。
他人が、どんなに考えて、その答えを出したとしても、それは絶対に正解にはならない。
もしかしたら、被害者の家族もその審判を聞いた後でした、その気持ちは分からないのではないかと思いました。

この作品は、読みながら自分自身の考え方がぐらぐらと揺らぐのを感じながら、問いかけながら読み進めるとても考えさせられる作品でした。

「虚ろな十字架」SNSでの反応!

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今後も投稿楽しみに拝見させていただきます。

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