「神様のボート」

恋愛という狂気、その中で生きる母と娘

「神様のボート」について
江國香織先生の小説。1999年に新潮社から発刊された、結構古い作品です。
古い作品ではありますが、第13回山本周五郎賞を受賞した作品で、評価も高く、長く読み継がれている作品です。
そして遂には主演が宮沢りえさんで、テレビドラマ化もされており、人気はさらに加速しました。
簡単なあらすじはこうである。
離れ離れになった恋人を待ち続ける母親。そしてその娘の物語。
母親である葉子と、娘の草子、それぞれの視点から物語は描かれている。
母親である葉子には「必ず戻ってくる」と言って離れ離れになった、愛する人がいた。
そしてその人の帰りを、娘の草子と一緒に待ち続けていた。
結婚していた桃井先生とも離れて、東京を出た2人は
「神様のボート」に乗って漂流し続け、様々な土地を転々としながら暮らし続ける。
やがて成長した娘の草子は成長するとともに、母親と帰ってこない人を、2人でいつまでも待ち続けるという生活に疑問を抱くようになってくる。

結構古い作品だけど、評価は今でもかなり高い作品。
江國先生の作品の中でも、有名です。
「神様のボート」の感想
江國先生の作品は、「冷静と情熱のあいだ」からとても綺麗な印象がありました。
そしてこの作品も、神様のボートというタイトルを見ても、綺麗な作品をイメージしていました。
読み始めてみて、やはり江國先生の特徴である、綺麗なイメージはこの作品でもよく表れています。
しかし、この作品では読み進めていくと徐々にもう1つの違ったイメージが浮かび上がってきます。
それは「狂気」というイメージです。
恋愛の中の狂気。
綺麗な恋愛を描いているその深い内面にはある狂気ともとれる深く強い感情があります。
この綺麗と狂気という一見正反対なイメージが並行して存在していることから、狂気がただの狂気とは違って見えてきます。
本気で誰かを愛する、その純愛は時に狂気と感じうることもある。
純愛という純粋さには、それだけ純粋になれるという狂気も同時に存在するのかもしれない。
または表裏一体なのかもしれない。
母と娘の長期に渡る物語は美しくそして儚い。
ただの恋愛小説で終わらせないのが、江國先生の凄さ。

相変わらず綺麗な物語と思わせながら実はその裏には狂気というイメージを浮かばせる
さすが江國先生!!
読旅の分析・評価

「神様のボート」SNSでの反応!
SNSに投稿されている「神様のボート」に関する投稿を見つけましたので掲載しています。
沢山の投稿がありましたが、その中から心に残った投稿を掲載させていただきました。
Xでの反応!
Xでも「神様のボート」に関するたくさんの投稿があります。
本書の魅力がよくわかります!
江國香織『神様のボート』#読了
— みぬ (@Cmore_8) December 17, 2024
「あのひと」と出会うその日までを揺蕩う旅がらすの母娘。浜辺をずっと散歩しているような心地だった。過干渉しないし長くは話さなくても、通じ合っていく人たちが出る、やっぱり江國さんの文章が好きだなと思う。
あとがきで少しぞくっとした。甘くて危険。 pic.twitter.com/29ibh9Yatn
▫️神様のボート|江國香織
— きいろ📚 (@kiiro_books) November 8, 2024
コーヒーと読書で贅沢な金曜の夜。
みなさま1週間おつかれさまでした。 pic.twitter.com/ha1pDEqFwB
Inatagramでの反応!
Instagramでも多くの方が「神様のボート」に関する感想を投稿しています。
本書の魅力がよくわかります!
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