「去年の冬、きみと別れ」
本物の化物は誰だ!
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- ジャンル:サスペンス・ミステリー
- 本の種類:文庫本
- 著者名:中村 文則
- 出版社:幻冬舎文庫
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- ジャンル:サスペンス・ミステリー
- 本の種類:文庫本
- 著者名:中村 文則
- 出版社:幻冬舎文庫
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私がこの本を選んだ理由
中村 文則さんの作品は奥が深くて難しい、だけど面白いよと
友人から聞いていて
一度読んでみたいと思っていました。
本屋に行って中村文則さんのコーナーを見ている時に
ふと、このタイトルが目につきました。
始めてこの方の作品を読むには
ちょうどいい厚さかな~なんて気持ちで手に取ってみました。
手にとって本の後ろに書いてある作品の概要に目を通すと
ある猟奇殺人事件の・・・と書いてある。
タイトルは「去年の冬、きみと別れ」。
一見恋愛小説かなと思わされます。
このギャップにも興味をもってしまい
読んでみることに決めました。
著者「中村 文則」について
日本の小説家。
2002年に「銃」で新潮新人賞を受賞してデビュー。
その後数々の賞を受賞しています。
海外でも評価されて
海外の賞も受賞している大人気の小説家です。
作品が出版されれば
必ずといっていいほど書店のおススメコーナーに並んでいます。
日本の代表的な小説家です。
本書「去年の冬、きみと別れ」について
「去年の冬、きみと別れ」。
恋愛小説を思わせるようなタイトル。
しかし、この小説の始まりは
二人の女性を殺害した、猟奇殺人犯への面会というところから始まります。
面会しているのはライターである「僕」
この「僕」がストーリーを運んで行くのだが
徐々にその事件と犯人の人間性
そしてその事件に関わる人間達の複雑な関係性
そのストーリーは、猟奇殺人犯にスポットが当たっていると思っていたのだが
この小説の主軸が何処にあるかが徐々に分かってきます。
猟奇殺人犯は誰も殺していない!
猟奇殺人犯への面会という場面からストーリーは始まるのですが
ストーリーが進んで行くと
この殺人犯は本当に殺人をしたのか?という疑問が湧いてきます。
そして終盤には
その衝撃の事実を突き付けられます。
そのことを知っているのは誰
そして何も知らないのは誰なのか。
そしてなぜそのような意外なことが起きていたのか
その理由も最終的に明らかにされていきます。
関係者全員に感じる不思議な雰囲気
本書に登場してくる人物達は全員、どことなくミステリアスな雰囲気を感じさせます。
危険であるが臆病、そして見せている自分と隠している自分
この二面性をそれぞれが上手く見せたり隠したりしており
登場してくる人物たちに、いつの間にか引き込まれていく
主であるストーリーの背景として
その人間性を否定したり共感したりという心理の変化を楽しむことができます。
人間が持つ感情・心理・性格が
少しの違いやズレ、衝撃で大きく変化し
やがて本当の自分さえも凌駕して入れ替わっていく
いや、本当の自分が表れたとも言える。
ストーリーの全体が
この本当の自分、人間の本性というものを感じさせるような雰囲気で
書かれていると感じることができます。
「去年の冬、きみと別れ」を読んで!まとめ!
本書は猟奇殺人犯が起こした事件や
犯人の心理的な事について書かれた小説かと思い読んでいると
見事に、そして鮮やかにその期待を裏切られます。
猟奇殺人犯が起こした事件。
それは本当にその犯人が起こした事なのか・・・
その犯人は自分が「この人」を「殺した」と思っている。
しかし、その犯人は「この人」ではなく、しかも殺してもいない?
それでは一体、誰が誰を殺したのか?
その真実が、言わばこのストーリーの本当の意味が分かった時に
全てのことが曖昧な状態で進みながら
実は全てに理由があったこと、そしてその理由こそが人間の「愛」であったということに気付きます。
私はそう感じました。
純愛に支えられていた男が
ある日その愛の純粋さ故に、相手との間に少しのズレが生じてくる。
それが分かっていて自分を抑えていく。
やがてその男を変えてしまう事が起き
そこからその男の姿は変わっていきます。
しかし、その男を本当の化物へと変えてしまった出来事
それは意外な事でした。
愛情という人間の感情が、何かをきっかけで
まったく違う形に姿を変えてしまう。
とても複雑な人間の感情が生み出す行動が
まさに本書のストーリーの事件の背景として描かれています。
そして最後に、その純愛が
男が作り出した憎悪と愛情の表れが明らかになります。
多くの伏線が仕掛けられており
読んだ後にじっくりと考えさせられる読み応えのある小説だと思いました。
本物の化物は誰だ!
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- ジャンル:サスペンス・ミステリー
- 本の種類:文庫本
- 著者名:中村 文則
- 出版社:幻冬舎文庫
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- ジャンル:サスペンス・ミステリー
- 本の種類:文庫本
- 著者名:中村 文則
- 出版社:幻冬舎文庫
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