「月人壮士」
己の血統のために苦悩の人生を送った天皇
語られなかったその天皇の真実に迫る物語!
「月人壮士」について
この作品は、中央公論新社の「螺旋プロジェクト」という企画の中の作品です。
螺旋プロジェクト
中央公論新社 「螺旋」プロジェクト|特設ページより引用
「共通ルールを決めて、原始から未来までの歴史物語をみんなでいっせいに書きませんか?」
伊坂幸太郎の呼びかけで始まった8作家
朝井リョウ、伊坂幸太郎、大森兄弟、薬丸岳、吉田篤弘、天野純希、乾ルカ、澤田瞳子による前代未聞の競作企画である。
このプロジェクトの共通ルールがあって、まずはそのルールを紹介します。
- ルール①
「海族」と「山族」の対立を描く! - ルール②
共通のキャラクターを登場させる! - ルール③
共通のシーンや象徴モチーフを出す!
これらの共通ルールを守って書かれていることが前提にあります。
本作品はこの螺旋プロジェクトの中では、古代の時代を描いた作品です。
「古代」とは、歴史の時代区分では、日本ではちょうど奈良時代の始まりから平安時代の終わりまで位の時代を言います。
歴史の授業で知っている人もいると思いますが、古代という時代は天皇と貴族を中心とした政治が行われており、律令国家を形成し始めた時代です。
そんな時代での海族と山族の関係を描いたのが本作「月人壮士」です。
螺旋プロジェクト、8作家による壮大なプロジェクトの1作品となる本作品を読んだ感想についてまとめていきます!
「月人壮士」を読んで
この作品は、冒頭でも紹介した「螺旋プロジェクト」の中の作品です。
この壮大な歴史物語の前半である古代の時代を舞台に描いた本作品は、日本の歴史の中で天皇という存在を中心としていた時代での海族と山族の存在、そして関係性によって自分自身の血統による人生の苦悩を強いられた聖武天皇に焦点を充てて物語を描いています。
聖武天皇の生涯を、本人の語りではなく、聖武天皇の周りの人物たちによって彼の生涯や気持ちを語っていく形で物語が進んでいきます。
周りの人たちによって語り継がれていく聖武天皇の人柄。聖武天皇が天皇という立場にあったからこそ苦悩の人生を送ることとなった。歴史の授業では決して知ることの出来ない天皇という人物の心情。
藤原氏と皇族たちとの間にある「海」と「山」という古くから伝わる民族の宿命の中で翻弄された聖武天皇。彼は一体何を思い、その時代に天皇として存在していたのだろうか。
血統による宿命によって苦悩の人生を送ることとなった天皇であり、一人の人間の心情の真実を描いた。ただの時代小説ではなく、人間の心の部分に触れた物語。
まさに海族と山族の始まりから、その関係性が具体化され始めるきっかけになる作品。
読旅の分析・評価
今回この作品の分析評価として総合評価71点という評価になりました。
螺旋プロジェクトの中で、まさに物語の始まりである「古代」の時代を舞台として、海族と山族の関係性を具体化し始めた内容となっています。
聖武天皇の生涯や人柄、心情を天皇を囲む人物たちによって語られていくという構成、そして登場する人物たちのキャラクター、文体や表現が8点と高得点になっています。
「学び・発見」という点でも、歴史の授業で学んだことを再確認できたかなと思った点から8点と高得点をつけています。
「読みやすさ」という点では、多少時代小説っぽい単語も入ってくるので、少し難しさも感じることから6点としました。
意外性やドキドキといった点では、6点としたのは、聖武天皇の生涯を淡々と語っていく構成になっているので、ドキドキというよりもじっくりと読み進める感じになっているため、6点としています。
全体的には聖武天皇の生涯とその心情をじっくりと感じながら読むという雰囲気の作品になっているという評価です。
「月人壮士」SNSでの反応!
SNSに投稿されている「月人壮士」に関する投稿を見つけましたので掲載しています。
沢山の投稿がありましたが、その中から心に残った投稿を掲載させていただきました。
Twitterでの反応!
ツイッターでも「月人壮士」に関するたくさんの投稿があります。
本書の魅力がよくわかります!
澤田瞳子「月人壮士」#読了
— あべしぃ📚ブックチューバー (@honjituno) April 6, 2023
聖武天皇の崩御から幕が開ける奈良時代が舞台の物語📚!真の遺詔を探す過程で、徐々に聖武天皇の人物像が浮かび上がってきます。天皇家と藤原氏が対立していた時代。聖武天皇が自らの出自に葛藤する姿が特に印象的でした。壮絶な孤独感。切なさが凄かった😭#パンの耳 pic.twitter.com/fbRxJ7eugl
澤田瞳子『月人壮士』#螺旋プロジェクト 「古代」の物語。
— すぐ📚 (@me_reading) November 6, 2019
聖武天皇が崩御し、亡き先帝の真意を探る命を受けた中臣継麻呂と道鏡。
「全き天皇」であること──
その何人にも推し量れぬ孤独を背負った聖武帝の真の姿が、関係者の証言から浮き彫りになってゆく。
初の時代小説でしたが楽しめました! pic.twitter.com/OkUX3gUrum
Inatagramでの反応!
Instagramでも多くの方が「月人壮士」に関する感想を投稿しています。
本書の魅力がよくわかります!
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