「銃」
圧倒的な魅力を持った存在が人の心と思考を支配していく!
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「銃」について
本作は、中村文則さんの作品です。
そして、中村文則さんのデビュー作品でもあり、新潮新人賞を受賞しています。
新人で、これほど難しい内容になるであろう小説に挑戦し、見事人気の作品になるように仕上げているのは本当に驚きで、すごい才能を持った方なんだなと思いました。
中村文則さんの作品は、結構読ませていただいており、コレまで数冊の作品の感想をブログやインスタに公開してきました。
最近では「土の中の子供」の感想を書いています。
本作は、結構以前から気になっていました。
まず気になる理由としては、このタイトルです。「銃」という1文字がタイトルとして表紙の真ん中に書かれた表紙、本屋さんで見かけるたびに、読んでみようと思っていた作品でした。
この「銃」という1文字から中村文則さんの世界がどう展開されていくのかとても楽しみにしながら読み始めました。
「銃」という非日常的な存在に魅せられる
本作品はタイトルの通り、「銃」をメインの題材として書かれた小説です。
主人公は偶然人が死んでいる場所に遭遇し、そこに落ちていた「銃」を拾うことになります。
偶然にも銃を拾い手にした主人公は、全て銃が中心となった生活を送るようになっていきます。
彼の思考、行動の全てが銃という圧倒的な存在を無視できなくなり、銃が放つ高貴な輝きや重量感に対して、彼は銃のことを徐々に生きている生命のあるものであるかのように感じていきます。
「銃」という存在は、生と死を左右する、それを支配する境界に存在しているもので、更にその圧倒的な存在感をもたらす「銃」の形にも主人公は心を奪われ、惹かれていきます。
銃を持った生活を続けていくうちに、やがて主人公の思考や行動は、銃で何かを打ってみたい、銃の力を確かめて感じてみたいという方向へと変化していきます。
つまり銃に支配され、自分でも気付かないうちに銃によって危険な方向へと導かれていくようになります。
銃を所有していたはずの主人公は、徐々に銃によって心を支配され、銃によって所有される存在へと変化していきます。
自分の思考や行動が、銃によって支配されていきそうになりながら、主人公はギリギリのところで、その一線を超えないように自分を保とうともがきます。
自分の心が、支配され吸い込まれるほど魅力を感じるものに出会った時、人の心や思考、行動は、どのように変化していくのかが、実に細かく描かれ表現されています。
あたかも自分がその銃を目の前にして手に取っているような感覚。
そんなリアルさを感じることができる表現です。
この人の心理変化の表現や描き方に中村文則さんの世界、特徴が実によく現れないており、それを感じることができました。
「銃」を読んで!まとめ
本作品でも中村文則さんの特徴が実によく表れていたと思います。
人の心理や思考の変化を、実に繊細な表現で描き、読者が主人公の感じている変化をリアルに感じ取れるような表現になっていると感じました。
人がもし、「銃」という日常では出会うことがない圧倒的な存在感を持ったものに出会った時、そしてそれが自分にとって何よりも魅力を感じるものであった時、その心を奪われ支配されることで変化していく心理と行動、その感覚を感じずにはいられない作品です。
人が圧倒的な魅力を感じるものに出会った時、出会う前までの自分との違いに気付かないうちに変化していく。
頭のかなでは、絶対に人には言えないような考えが浮かび、巡っているということもあるでしょう。
その考えが、変化していく先が、世の中で許されないことであった時、重要なことは、それを行動に移すか移さないかということです。
頭の中でもし許されないそれを考えた、思ったとしても、それを行動に移していいことか悪いことかを判断し、人は理性を持って行動を決めます。
本作品では、圧倒的な魅力を持ったものに心を支配された状態で、行動へ移すか移さないかという境界にいる、最終的には、その境界のどちらへと踏み入ってしまうのか、人の思考の変化、理性というものの変化を繊細な言葉で、詳細に描いていると強く感じました。
人が何かに心を支配された時、色々な理由を作り出し、その行動を正当化するための根拠としたり、行動を止める根拠にしたり、一人の人間の思考と心理の変化が起こり。それは他人には見えない部分で大きな変化として起きています。その他人には見えない部分での思考や心理の変化に大きく迫り、それを詳細にリアルに描いている部分に読んでいてグッと引き込まれます。
中村文則さんの表現に吸い込まれている状態です。
そして最後に、この主人公は予想外の行動を起こします。その行動はこれまで何度も冷静に繰り返してきた思考とはかけ離れた行動です。
ここにも人間の不思議な性質が描かれています。彼が最後の最後にたどり着いた行動。
深い思考を繰り返し、選択する未来、その反対に突発的に動いてしまう未来。
リアルな人間の思考と行動が中村文則さんの表現の方法によって描かれています。
本書では惹きつけられるほど魅力を感じる対象が「銃」となっています。このように、心を奪われるほど魅力的なものに出会った時の人間の思考の変化、行動を深く細かく描いた魅力のある作品だと思いました。
「銃」SNSでの反応!
SNSに投稿されている「銃」に関する投稿を見つけましたので掲載しています。
沢山の投稿がありましたが、その中から心に残った投稿を掲載させていただきました。
Twitterでの反応!
ツイッターでも「銃」に関するたくさんの投稿があります。
本書と中村文則さんの人気の高さがよくわかります!
銃を読み終えました◎
中村文則の本読むのは初めてでしたが、すごく読みやすくてスラスラ読めました
面白かった!
1時間半ぐらいかかったけど。吉沢亮とか綾野剛とかもオススメしてる一冊だったので借りてきた
他の本も読んでみたいな〜と思った
もう一冊借りてます⭐️ pic.twitter.com/VdcFKDkt3V— なおなお。 (@naonao_1229) February 7, 2021
銃/中村文則#読了
たまたま拾った一丁の拳銃に、精神が飲み込まれていく青年の話
最初から最後まで、主人公の狂気の描写がぎっしり詰まっていて、思わず一気読み
新潮新人賞は心理描写や筆力がーとはよく聞くが、まさに評判通りの作
本編関係ないけど、紙の手触りが好みだった#読書好きと繋がりたい pic.twitter.com/oD4ALrnBmm— なつ@読書垢 (@natsu_dokusho) February 3, 2021
Instagramでの反応!
Instagramでも多くの方が「銃」について読了後の感想を投稿されています。
画像とともに、深い感想を投稿されています。
ご興味のある方は是非ご覧になってください。
私も同じように感じました。読んでいてその世界にどんどん引き込まれる感覚です。
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「人の心の空洞を”銃”というツールで分かりやすく説いてくれる」
すごく共感できる表現でした!
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「銃」を読んでみたくなったらコチラ!
人が日常ではない魅力的な何かに出会った時
人間の心や思考の変化を知ることが出来る作品
自分にも当てはまる部分があるかもしれない
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