《読書感想》
◆国宝◆
芸に生きるとは、命を削ることだ

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国宝

国宝:吉田修一
国宝:吉田修一

芸に生きることは、命を削ることだ

国宝:読書記録
国宝:読書記録

「国宝」について

国宝:吉田修一

本作は、歌舞伎という伝統芸能の世界を舞台に、芸に人生を捧げた男たちの壮絶な軌跡を描いた長編小説。

第69回芸術選奨文部科学大臣賞第14回中央公論文芸賞を受賞。

「国宝」あらすじ

物語は、異なる背景を持つ二人の少年が歌舞伎の世界で出会い、芸の道に人生を捧げる姿を描く。

  • 立花喜久雄:任侠の家に生まれ、父の死後、歌舞伎役者に引き取られる。
  • 大垣俊介:歌舞伎の名門に生まれ、喜久雄と同じ師匠のもとで修行する。

この二人は師匠・花井半二郎のもとで切磋琢磨しながら、梨園(歌舞伎界)で名を上げていきます。

しかし、芸の世界は厳しく、友情と嫉妬、挫折と再生が交錯します。

やがて、師匠は実子の俊介ではなく、部屋子の喜久雄を後継に選ぶという決断を下します。

そして、そこから二人の運命は少しずつすれ違っていく。
すれ違いながらも、「芸」という道で繋がっている。

そしてそこから新たな二人の運命が始まる。

著者 吉田修一さんの情報

吉田修一さんは、純文学とエンタメ小説の両方で高く評価されている日本の小説家です。
活動開始は、1997年で『最後の息子』で文学界新人賞を受賞しています。

2002年に『パーク・ライフ』で芥川賞、同年に『パレード』で山本周五郎賞を受賞と同年に2つの作品で2つの賞を受賞している作家さんで、それ以外の作品でも、数々の賞を受賞しています。

今回紹介している『国宝』もそうですが、映像化された作品が多数あり、美しい文体と人間描写が特徴と言えます。
歌舞伎が好きで、舞台裏の黒衣として取材などをした経験もあるということから、この『国宝』がよりリアルに描かれているんだと納得!

吉田修一さんの代表作
  • パレード(2002年)
    山本周五郎賞受賞。ルームシェアする若者たちの物語
  • パーク・ライフ(2002年)
    芥川賞受賞。都会の孤独と偶然の出会いを描いた作品
  • 悪人(2007年)
    毎日出版文化賞・大佛次郎賞受賞。殺人事件を通して人間の善悪を問うという、社会派・サスペンス小説
  • 横道世之介(2010年)
    柴田錬三郎賞受賞。素朴な青年の温かい日常を描いた青春物語
  • 怒り(2014年)
    映画化もされた重厚な人間ドラマ

「国宝」の感想

ここからは『国宝』を読んだ感想を書いていきます。
文庫本で上下巻とかなりの長編小説でしたが、その中から特にここがよかったというポイントなども抽出して紹介していきます。

そして最後に、作品の感想をまとめて、分析・評価についても紹介していますので、ご興味のある方は最後まで読んでみてください!

圧倒的な人間ドラマ

この作品の魅力は何といっても「人間ドラマ」です。
主人公である喜久雄の人生はまさに「波乱万丈」、幼い頃に父親を亡くし、その後歌舞伎役者の家に預けられ、歌舞伎に魅せられていく。

自分の人生の中に孤独を見ながら、それでも、それでもと芸に自分の人生を捧げていく姿に胸を打ちます。

主人公だけでなく、芸の道を厳しく教えた師匠やライバルとなる同僚など、登場人物たちの人生も喜久雄の人生と並行して描かれている。
まさに、それぞれの人生の人間ドラマを繊細に描いた作品。

歌舞伎の描写が秀逸

この作品の最大の特長といってもいいでしょう。
物語のメインの舞台となっている「歌舞伎」。この歌舞伎の描写が秀逸でした。

私自身、歌舞伎のことはほとんど知らない状態で、この作品を読みましたが、歌舞伎を知らなくても舞台の緊張感や臨場感などが伝わってくるような感覚になりました。

所々で表現される、「~でございます」のような古風な語り口が、この作品の世界観をより強化しており、読者はより作品に入り込めるような表現の工夫もされています。

演目と登場人物たちの人生や運命が重なっていくことで、物語にはよる深みが生まれています。

主人公を支える脇役の魅力

この作品は、主人公の魅力はもちろんですが、主人公を支える家族や友人、恋人など多くの登場人物たちがいます。

そして彼らは、それぞれがとても魅力的で、脇役でありながらも、その存在感や印象も大きく、主人公との幼い頃からの関係を大切にしている、徳次の存在は、物語に情の深さや感動を与える重要なものとなっています。

『国宝』を読んでの感想まとめ

この作品を読んで、全体を通して感じていたのは、主人公・立花喜久雄の芸への執念と、それに伴う狂気的なまでの覚悟です。
舞台に立つ瞬間、彼の中に何かが憑依するような描写は、技術を超えた本能とも言える“魂の変容”として圧倒的な迫力を持っています。

どんな困難が降りかかっても、舞台に立てば別の人間になる。
そんな役者の業が胸に迫る思いでした。

白粉の匂いや舞台の緊張感、観客の熱気までが手に取るように描かれ、歌舞伎の知識がなくとも、その状況を理解することが出来る作品でした。
芸道小説ってあまり読んだことなかったんですが、歌舞伎を知らなくても楽しめる作品でした。

芸道小説であると同時に、人生をどう生きるかという問いを投げかける作品で、深く、熱い人間ドラマを感じることができた!

『国宝』の分析・評価

国宝:分析・評価
国宝:分析・評価

『国宝』はこんな人におすすめ!

  • 芸道に命を懸ける人間の生き様に惹かれる方
  • 歌舞伎や日本文化に興味がある方
  • 重厚な人間ドラマをじっくり味わいたい方

「国宝」SNSでの反応!

SNSに投稿されている「国宝」に関する投稿を見つけましたので掲載しています。

沢山の投稿がありましたが、その中から心に残った投稿を掲載させていただきました。

Xでの反応!

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Inatagramでの反応!

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