
人魚が逃げた

人魚を追いかける、王子に出会った

「人魚が逃げた」について
本作は、青山美智子さんの小説で
銀座の街を舞台に繰り広げられる連作短編集です。
童話「人魚姫」をモチーフにした幻想的な世界観と、現代人の心の機微が絶妙に融合した作品となっています。
青山美智子先生はこの作品で、本屋大賞4年連続ノミネートと、とても人気のある作家さんです。
「人魚が逃げた」あらすじ
ある週末、SNSで「人魚が逃げた」という謎の言葉がトレンド入り。
銀座の歩行者天国に現れた“王子”と名乗る青年が、「僕の人魚が逃げたんだ」と語り、人々の注目を集めます。
この奇妙な騒動の裏で、5人の男女_
恋に迷う元タレント、母としての価値に悩む主婦、過去に縛られたコレクター、言葉に自信を失った作家、そして心に傷を抱えるホステス。
それぞれが、それぞれの人生の転機を迎え、王子との出会いを通じて自分自身と向き合っていきます。
著者 青山美智子さんの情報
青山美智子さんは、1970年生まれの日本の小説家で、愛知県出身。
日常の中にある小さな奇跡や人とのつながりを描く、優しく温かな作風で知られています。
連作短編形式を得意とし、読者の心に寄り添うような物語が多くの支持を集めています。
最近では、本屋大賞に複数回ノミネートされており、出す作品がほんとに面白いと人気の作家さんです。
青山美智子さんの代表作
- 木曜日にはココアを(2017年)
小さな喫茶店「マーブル・カフェ」を舞台に、日常のささやかな出来事がつながり、ひとりの命を救うまでを描く12編の連作短編集。 - お探し物は図書室まで(2020年)
人生に迷う人々が訪れる図書室で、司書が選ぶ本と付録が彼らの背中を押す。2021年本屋大賞2位。 - 赤と青とエスキース(2021年)
メルボルンの画家が描いた一枚の絵が、日本で奇跡を紡ぐ。仕掛けに満ちた連作短編。2022年本屋大賞2位。 - 月の立つ林で(2022年)
ポッドキャスト「ツキない話」を通じて、登場人物たちが自分自身と向き合い、再生していく物語。
2023年本屋大賞5位。 - リカバリー・カバヒコ(2023年)
公園のカバの遊具「カバヒコ」に悩みを打ち明ける住人たちの物語。2024年本屋大賞7位。
「人魚が逃げた」の感想
それでは『人魚が逃げた』を読んだ感想を書いていきます。
青山美智子さんの小説『人魚が逃げた』は、銀座を舞台にした連作短編集で、現代の街角にファンタジーの魔法をそっと忍ばせたような、心温まる物語です。
ファンタジーと現実の絶妙な融合
銀座に現れた王子が「僕の人魚が逃げた」と叫ぶ場面から物語が始まり、ん?という思いもありながら、序盤で心を掴まれて、その世界に引き込まれました。
それはまるで童話のような世界観でありながら、登場人物たちの悩みや葛藤は非常に現実的で、このアンバランスというか不思議な感覚がおもしろいと思いました。
登場人物の心の旅
人生の岐路に立っている人たちが、それぞれの章で登場してきます。
母娘のすれ違い、姉妹の絆、恋人との誤解など、誰もが経験しうる感情の揺れが丁寧に描かれています。
王子との出会いを通して、彼らは自分の気持ちに気づき、前に進む勇気を得ていきます。
その姿が、読んでいても自分に置き換えて前向きな気持ちにさせてくれます。
タイトル「人魚が逃げた」の意味
「僕の人魚が逃げた」から始まるんですが、実際に逃げたのは「人魚」ではなく「花嫁」でした。
人魚を探す王子は「役柄に疲れて現世に逃げてきた」存在であり、物語の中で「自分の役割」や「生き方」に悩む人々の象徴として表現されています。
この物語は、人魚姫の物語を下敷きにしながら、「逃げること」や「自分で選ぶこと」についての大切さを表現していることが分かります。
エピローグではすべての伏線が回収されていき、「なるほど!そう繋がってたのか!」と納得の驚きと何だか嬉しさもかんじました。
『人魚が逃げた』を読んでの感想まとめ
青山先生の作品はいつも、「心が温まる」「癒された」という感じに包まれます。
本作でも、青山作品らしい優しさと深い洞察が詰まった物語となっており、幻想的な設定ながら、登場人物たちの悩みや成長がリアルに描かれ、まるで自分自身の物語のように感じられる仕上がりになっていました。
銀座という場所で起こっていることなのに、なぜか幻想の世界での出来事のような雰囲気も醸し出して、物語に不思議な奥行きを感じさせます。
「人魚が逃げた」というタイトルが、実は登場人物たちのそれぞれが、自分自身のことから逃げていた、それに気付いていいくという物語で構成されていて、それぞれの人生において、逃げずに向き合う姿を、読者に思い起こさせる、そんな温かい前向きになれる作品です。
今、自分の人生に何か悩みがあって、迷いがある人に是非、読んで欲しい!
読後にあなたもきっと思うはず。
逃げたのは人魚じゃない、それは自分の中にある本当の自分だったんだと。。。

今、自分の人生に何か悩みがあって、迷いがある人に是非、読んで欲しい!
王子が探している人魚。
実は誰の心の中にもいるものなのかも。
読旅の分析・評価

『人魚が逃げた』はこんな人におすすめ!
「人魚が逃げた」SNSでの反応!
SNSに投稿されている「人魚が逃げた」に関する投稿を見つけましたので掲載しています。
沢山の投稿がありましたが、その中から心に残った投稿を掲載させていただきました。
Xでの反応!
Xでも「人魚が逃げた」に関するたくさんの投稿があります。
本書の魅力がよくわかります!
『人魚が逃げた』 #読了
— mina🍓 (@_37pink) May 16, 2025
童話『人魚姫』の要素を織り交ぜながら銀座の街を舞台に描かれる少し不思議な物語🧜🏻♀️
登場人物たちの縁の繋がりが絶妙で、見えているものが全てじゃないよなあと改めて感じた!
青山さんの連作短編集はサラッと読めるけど、温かな余韻が残るから超癒される🥰 pic.twitter.com/DqZ5TNpaju
『人魚が逃げた』/青山美智子
— NATSUKI@読書大好き📚 (@XeXNatsu) April 18, 2025
★★★☆☆
銀座の歩行者天国でテレビの街角インタビューに指名された青年が発した言葉🧜♀️
「わたしは王子です、逃げてしまった人魚を探しています…」
この中継が引き金となりSNSで「王子」がトレンド入りしてバズる🫅この人魚探しの裏側で繰り広げられる5つの物語📚 pic.twitter.com/xM4XXjKVxh
Inatagramでの反応!
Instagramでも多くの方が「人魚が逃げた」に関する感想を投稿しています。
本書の魅力がよくわかります!
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