握った手は自分から絶対に離さない
【糸】

読書感想小説恋愛

「糸」

糸

それぞれの人には、これが自分だという自分がいる。



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本の基本情報
  • ジャンル:小説
  • 本の種類:文庫本
  • 著者名:林 民夫
  • 出版社:幻冬舎文庫

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本の基本情報
  • ジャンル:小説
  • 本の種類:文庫本
  • 著者名:林 民夫
  • 出版社:幻冬舎文庫

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「糸」を読んで

中島みゆきさんの「糸」という歌に着想した映画のが、菅田将輝さん、小松菜奈さんのダブル主演で公開されます。
本書はその脚本家が書き下ろした小説になっています。

中島みゆきさんの「糸」の世界観が一体どんなふうに描かれているのか、歌も勿論好きなので、大変期待している作品でした。
まず感想として、心にグッとくる、心にジンと染みわたる感動作品だと感じました。

恋愛小説のようで、しかし、ただ普通の恋愛ではなく、人間のもっともっと深い感情の変化、周りの人間との関係を経験しながら成長していく二人の男女。
魅かれあう二人が、幼い時に引き裂かれ、それから多くの苦しみや優しさを経験して最後に自分達が何処へ行くべきなのか、自分のいるべき場所は何処なのかを一生懸命探していくストーリーです。

幼くして引き裂かれた二人

二人は中学生の頃に出会います。出会った二人は魅かれあいます。

少女は家庭環境に問題があり、なかなか友達も出来なかったが、何故かその男の子には素直な気持ちを話すことが出来ました。
やっと二人はふたりでいるという場所を見つけました。

男の子は、家庭環境に問題がある少女を懸命に守り救おうとしますが、子供の力で少女を救い出すことが出来ず、結局大人たちの考えで二人は引き裂かれてしまうことになります。

二人はふたりでいるという場所を見つけたのに、大人達によって引き裂かれた二人の人生は、そこから、自分の居場所、自分の戻るべき場所を探すという難しく長い人生になっていきます。



人との出会い

大人達によって引き離された二人は、違う人生を歩み始めます。
無理やり引き裂かれた二人は、必死で新しい人生を歩もうと頑張ります。

その中で、多くの人に出会い、様々な経験をした色んな人に出会います。
その人達と過ごすことで、自分のいるべき場所を少しずつ感じるようになり、そこに落ち着こうと、それでいいのだと納得していくようになります。

人との出会いや関係は様々です。
親子、家族、友人、親戚、隣人、師弟、そして恋人。
このそれぞれにいろんな織りなす糸があります。

その様々な糸が人の心、人生に大きく影響します。
本書でも、二人の心に大きく影響し人生を動かしていきます。

そして時間とともに二人の想いを少しずつ変化していきます。変化せざるおえないという状況に変えていきます。
過去を乗り越えようと必死だった二人は、今の生き方が、今の状況が正解なのだと必死で自分を肯定していきます。

時間と環境はふたりを変化させながらも、決して変わることのない何かを、二人の心の本当を変えることは出来ませんでした。

そして最後に二人が到着した場所とは、その結末に思わずよかったねと涙が溢れます。

「糸」を読んで!まとめ

本書は、いろんな環境で育った人間達の心の変化や生き方、そしてそれぞれが毎日の生活の中で絡み合って、人生が流れていく、人はその人生を生きて作るしかない。
まさに織りなす糸が人生を作っていくんだと感じました。

幼い頃に引き裂かれた男女二人がいろんな人達に出会い触れあいながら不器用に自分の世界を生きていきます。
自分の力で生きていくという力強さと時に涙してしまう弱さの2つが共存しながら人の心は生きています。

大切なものを失いながらも、それでもまら新しい場所へと到着していく。

到着した場所は理想とは少し違うかもしれない、でもそれが今の理想であると思うようにする自分が今いる。

人間の心は何がいいのか悪いのか
何を感じることが正解なのか、大切なのか、その答えは分かりません。

だけど人は心で感じます。
人それぞれにいろんな感じ方があり、それはみな違います。

それぞれの人生という糸が絡み合って人生は様々な色や形を魅せます。

そんな人生の中でも、最後に到着するところは、実は何も変わっていない。
成長して変わっていこうとしたけども、結局は自分がいるべき場所、戻る場所はもっと身近にあった。

しかし、自分がいるべき場所、戻る場所を見つけるために、前向きに戦おうとしないのも何か違うと感じました。
様々なことを乗り越えて、やがて自分がいるべき場所、戻る場所が見えてくるのだと思いました。

みなが人生という長い旅をしています。
そしてその人生は混ざり合います。違う場所で違う人生であったものが、いつか重なり合うこともあります。
そんな中で、自分がいるべき場所、戻るべき場所は一体どこなんだろうと考えさせられました。

そして、それが分かった時、それが確信できた時。
その手を絶対に話してはいけない、自ら話す事は絶対にしないと思いました。

自分の今をもう一度考えさせてくれる、心のラブストーリーでした。

糸

それぞれの人には、これが自分だという自分がいる。



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本の基本情報
  • ジャンル:小説
  • 本の種類:文庫本
  • 著者名:林 民夫
  • 出版社:幻冬舎文庫

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本の基本情報
  • ジャンル:小説
  • 本の種類:文庫本
  • 著者名:林 民夫
  • 出版社:幻冬舎文庫

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