《読書感想》
◆境界線◆
震災で人生の境界線を越えなければならなかった

読書感想小説ミステリ―人生・人間ドラマサスペンス
境界線:中山七里
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境界線

境界線:中山七里
境界線:中山七里

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境界線:読書記録
境界線:読書記録

『境界線』について

本作は、東日本大震災の“その後”を描いた社会派ミステリーであり、心を揺さぶるヒューマンドラマでもあります。

シリーズ完結編『彷徨う者たち』も刊行されており、3部作として読むとより深く味わえます!
社会問題をテーマにしたミステリーが好きな方にお勧めの作品です!

『境界線』あらすじ

2018年5月、気仙沼の海岸で女性の変死体が発見される。

遺留品からその女性は、震災で行方不明になっていた宮城県警の刑事・笘篠誠一郎の妻だと判明。
しかし、現場に駆けつけた笘篠が見たのはまったくの別人の遺体だった。

妻の身元が“誰か”に騙られていた――。
捜査が進むにつれ、震災の混乱に乗じた戸籍売買という闇が浮かび上がる。

著者 中山七里さんの情報

中山七里さんは、作品のラストで世界線が一変するという展開を得意としている「どんでん返しの帝王」と称される日本の人気ミステリー作家。
綿密な伏線と構成力で、読者を何度も裏切る快感を提供してくます!

社会派から音楽ミステリー、法廷サスペンスまで幅広いジャンルを手がけ、読者を驚かせる巧妙なプロットで知られています。多彩なジャンルの作品があり、さらにシリーズ作品も多く、ファンを長く惹きつけている作家さんです。

48歳で作家デビューされていて、デビュー作は「さよならドビュッシー」で、この作品は、2009年「このミステリーがすごい!」で大賞を受賞しています。

中山七里さんの代表作
  • さよならドビュシー(2010年)
    火傷を負った少女がピアニストを目指す中、周囲で事件が起こる。音楽とミステリーが融合したデビュー作。
    岬洋介シリーズ。
  • 殺戮の狂詩曲(2023年)
    少年時代に殺人を犯した弁護士・御子柴。ついに御子柴の過去が暴かれ、シリーズ最大の転機を迎える。
    御子柴礼司シリーズ。
  • ネメシスの使者(2017年)
    ある事件の被害者遺族による復讐と刑事の葛藤を描く、刑事ミステリー。
    渡瀬と古手川シリーズ。
  • ヒポクラテスの憂鬱(2016年)
    医療ミスと隠蔽の真相に迫る、法医学ミステリー!人気シリーズ!
    ヒポクラテスの誓いシリーズ。
  • 嗤う淑女 二人(2021年)
    二人の“嗤う淑女”が交錯し、真実が揺らぐ。心理サスペンス。
    嗤う淑女シリーズ。
  • ドクター・デスの遺産(2017年)
    安楽死をテーマにした衝撃作。警察医療ミステリー。
    刑事犬養隼人シリーズ。

『境界線』の感想

ここからは『境界線』を読んだ感想を書いていきます。
あの未曾有の災害、東日本大震災の”その後”を描いた社会派ミステリー。

『護られなかった者たちへ』に続く「宮城県警シリーズ」の第2弾の作品です。
それでは感想をまとめていきます!

震災が生んだ”境界線”の描写

生者と死者、善と悪、正義と欺瞞――震災によって揺らぐ人間の価値観が鋭く描かれ、それぞれの価値観についても、タイトルの境界線という意味を感じました。

震災によって失踪という状況になっているのだが、戻ってこない家族の「失踪宣告」に遺族はなかなか踏み切ることが出来ない。そんな家族の切なすぎる心理が伝わってきて、胸が締め付けられる思いでした。

社会問題への鋭い切り込み

行方不明者の戸籍を偽る「戸籍売買」がテーマとなっており、震災の混乱に乗じた犯罪のリアルさを感じて、震災による被害は、いろんな状況でまだ残っているのだと、津波が奪っていったのは、人の命だけではなく、人の心、倫理観や優しさまでも。。。と感じ、衝撃を受け心に深い悲しみが生まれました。

主人公・笘篠の葛藤と再生

主人公である笘篠が、自己欺瞞と向き合いながら「失踪宣告」という辛い現実に向き合うラストの姿は、涙なしには読めませんでした。

分かっていはいてもなかなか受け入れることが出来ない。
「死を受け入れること」の重さと、それでも生きていく人間の強さを感じることが出来ました。

『境界線』を読んでの感想まとめ

震災が生んだ“境界線” 生者と死者、善と悪、正義と欺瞞――人間の価値観が揺らぐ瞬間を描いています。

特に、震災で家族を失った者が「失踪宣告」に踏み切れない心理描写は胸を締めつけます。

犯人の供述「死んだ人間は所詮ごみ屑でしかない。戸籍なんてただの情報だ」
――この冷酷な論理に、読みながら自分の価値観を鋭く問われます。

主人公・笘篠が自己欺瞞と向き合い、失踪宣告に向き合うラストは、人間の再生の物語として深い余韻を残します。

笘篠刑事が「失踪宣告」に向き合うラストシーンは、自己欺瞞と向き合う痛みが描かれ、涙なしには読めません。

震災が奪ったのは命だけか?
このような問いが読了後に湧いてきました。涙なくしては読めない深い作品。

読旅の分析・評価

境界線:分析・評価
境界線:分析・評価

『境界線』はこんな人におすすめ!

  • 社会問題をテーマにしたミステリーが好きな方
  • 震災をテーマにした人間ドラマに関心がある方
  • 中山七里作品の“どんでん返し”と“社会性”の両方を味わいたい方

『境界線』SNSでの反応!

SNSに投稿されている「境界線」に関する投稿を見つけましたので掲載しています。

沢山の投稿がありましたが、その中から心に残った投稿を掲載させていただきました。

Xでの反応!

Xでも「境界線」に関するたくさんの投稿があります。
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Inatagramでの反応!

Instagramでも多くの方が「境界線」に関する感想を投稿しています。
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