《読書感想》
◆霧をはらう◆
犯人とされた母親を救うべく、弁護士は勝算のない裁判に挑む

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霧をはらう:雫井脩介
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霧をはらう

霧をはらう:雫井脩介
霧をはらう:雫井脩介

一緒に空を知ること、それが本当の愛になる

霧をはらう:読書記録
霧をはらう:読書記録

『霧をはらう』について

本作は、雫井脩介さんの法廷ミステリー・サスペンス作品です。
私が今回読んだのは、上下巻からなる文庫版です。

上下巻とも344頁あり、合わせて約700頁になるボリューム満点の物語。

雫井脩介さんの本作以外のでは以下のものがあります!
参考にしてください。

『霧をはらう』あらすじ

小児病棟で発生した点滴にインスリンを混入させるという事件
4人の子供が被害にあい、そのうち2人が死亡という悲しい結果となった。

そして容疑者として逮捕されたのは
被害者の1人である子供の母親であった。

母親は本当に殺人鬼なのか。。。
事件の真相を暴くために、ある弁護士が立ち上がる。

この事件によって有罪判決が出る前に世間の偏見にさらされてしまった容疑者とその家族を救うために、弁護士は偏見という霧をはらうために裁判に挑む!

医療現場で起こった事件を解決する法廷ミステリー、そして家族の愛情にも触れた家族ドラマ
複数の楽しみ方が出来る作品です。

著者 雫井脩介さんの情報

雫井脩介さんは、1968年生まれの愛知県出身の小説家で、専修大学文学部卒業。

1999年に「栄光一途」で新潮ミステリー倶楽部賞を受賞し、2000年に作家デビュー
心理描写に優れたミステリーを中心に、恋愛・家族・ビジネス小説など幅広いジャンルで活躍しています。

作品は、緻密な心理描写社会性のあるテーマが魅力。
映像化作品も多く、初心者にも読みやすい文体で、人気の作家さんです。

雫井脩介さんの代表作
  • 栄光一途(2000年)
    柔道界のドーピング問題を描いたスポーツミステリー。
    第4回 新潮ミステリー倶楽部賞を受賞。
  • 犯人に告ぐ(2004年)
    テレビ出演による「劇場型捜査」を描いた警察小説。
    第7回 大藪春彦賞 受賞/映画化/本屋大賞7位
  • クローズド・ノート(2006年)
    ノートを通じてつながる女性たちの切ない恋愛物語。
  • 検察側の罪人(2013年)
    検事同士の正義の対立を描く法廷ミステリー。
    映画化/「このミステリーがすごい!」第8位。

『霧をはらう』の感想

『霧をはらう』は、冤罪事件をめぐる弁護士と家族の葛藤を描いた、骨太な心理ドラマであり、法廷サスペンスです。
それでは『霧をはらう』を読んだ感想を書いていきます。

心理描写の巧みさ

登場人物の「迷い」や「葛藤」が丁寧に描かれており、読んでいてその物語の中に入りやすい感じでした。

特に、母親を信じきれない長女の心情が、細かく、丁寧に、そしてリアルに描かれており、母親の弁護を担当している弁護士との関係性が徐々に変化していく様子が感動的でした。

法廷ドラマとしての緊張感

逮捕された母親は本当に罪を犯したのか。
そんな状態で始まる裁判、そして残された子供たち、子供たちに会いたいと思っている母親のために、勝算のない裁判に挑む弁護士の姿勢が熱く描かれています。

裁判に勝つため、無罪を証明するための証拠集めや、尋問の描写が実にリアルで、まるで傍聴席にいるような臨場感を味わうことができました。
これは雫井さんの文章力によるものだと感じました。

社会的テーマへの切り込み

この作品では、冤罪偏見メディアの影響など、事件に巻き込まれた場合などに受ける問題、特に現代社会が抱える問題が鋭く描かれています。

タイトルにある「」とは、社会や周りの人間から受けた偏見疑念の象徴であり、それを少しずつ払っていく過程、それがタイトルに込められていると感じました。

家族愛と人間ドラマ

この物語の始まりは、病院で起きた事件であり、そして逮捕されたのが母親であったことであった。
事件解決のための裁判が描かれながらも、同時に、母親と娘の絆友人たちの支えなど、事件の周囲にある人間関係についても温かく描かれています。

単なるミステリーではなく、家族の成長と再生の物語としても楽しめる作品でもあります。

『霧をはらう』の感想まとめ

雫井先生の作品は「望み」という作品も読ませていただき、その物語の描き方や登場人物の心情の描き方など、とても好きな作家さんです。

今回、この「霧をはらう」という作品を読んでみて、ますます雫井先生の作品が好きになりました。

病院で起こったある事件をきっかけに、容疑者として逮捕された母親。
その母親のキャラの作り方、そのキャラがあったから、この物語は複雑な方向へと展開していくのです。
こういう設定がいいですね!物語がただの事件解決ではなくなる。

言葉には出せない、心に秘めた想い
こういう心情の描き方が好きです。

そして容疑者を助けるため、二次被害にあっている容疑者の家族を救うため、1人の弁護士が登場します。
法廷ミステリーと家族愛という複数の楽しみ方が出来る。

この弁護士が勝算がない裁判に勝つために、些細な証拠を集めていく、しかしそこには様々な障壁がある。
ただ事件解決ではなく、困難を乗り越えて解決へと近づいていく、そして最後までその結果が分からない。

物語の構成でも、読者を飽きさせません。
上下巻で約700頁になる作品ですが、ぐいぐい読み進めることが出来る作品でした。

法廷ミステリーや家族愛、そして社会派サスペンスのような作品をお探しの方は是非読んでみてください。

法廷ミステリー・家族ドラマ。
単順には終わらないのが雫井先生の作品ですね。最後まで本当の結末が分からない事件に隠されたある事情。ほんとに最後まで分からない真相!こういう伏線が憎いです!

『霧をはらう』の分析・評価

霧をはらう:分析・評価
霧をはらう:分析・評価

『霧をはらう』はこんな人におすすめ!

  • 法廷ミステリーが好きな人
  • 心理描写の深い作品を求める人
  • 家族の絆や人間ドラマに感動したい人

『霧をはらう』SNSでの反応!

SNSに投稿されている『霧をはらう』に関する投稿を見つけましたので掲載しています。

沢山の投稿がありましたが、その中から心に残った投稿を掲載させていただきました。

Xでの反応!

Xでも『霧をはらう』に関するたくさんの投稿があります。
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Inatagramでの反応!

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