「正欲」
「多様性」
世の中には、自分が想像できないことの方が
圧倒的に多い
「正欲」について
最初に書店でこの作品を見たとき
深い青色に「正欲」という白い文字、そして今から潜ろうとしている一羽の鴨。
このシンプルであるが何かを感じさせる表紙がとても印象的な作品でした。
「正欲」という言葉はいったい何を意味するのか興味を持たされるタイトル。
「セイヨク」と読めば「性欲」という言葉が浮かびます。
しかし、本作の「セイヨク」は単純に「性欲」という言葉に繋げられるものではありませんでした。
読了後に、このタイトルの意味をもう一度考えてみると、そのタイトルの意味の深さを知ることになりました。
本作品はの内容は、肯定的に傑作と言われるか、否定的に問題作と言われるか
読む人によってその評価は大きく分かれる、意見が分かれるものであると感じました。
しかし、この作品を読み終えた今感じるのは、この作品に対しては、評価や意見さえも不要なのではないか
こうやって読書感想文として、本作のことを書くことさえも不要なのではないかと、今この記事を書きながら感じてしまっています。
本当の意味での多様性と言えるか
本作品は、男児のわいせつな画像を撮影したなどの容疑で、3人の男性が逮捕・送検されたということから始まります。
読み始めの時点では、そういう問題を扱った作品なのかと安易に思ってしまいました。
しかし、読み進めていくうちに、その自分の安易な考えを見事に打ち砕かれ、自分の知っている世界の狭さを思い知らされることになりました。
マジョリティ(多数者、多数派)とマイノリティ(少数者、少数派)。
そして今、国際社会において当然の権利だとされ、徐々に浸透してきているダイバーシティ(多様性)。
本作品を読み進めていくと、日本におけるこのダイバーシティに対する考え方は
マジョリティ、多数派の人間たちが考え、ルールや定義を設定しており、マジョリティの人たちの理解の範囲の中で設定されているダイバーシティのであるように感じてきます。
果たしてそれが本当の意味でのダイバーシティ(多様性)と言えるのか。
本作品では、このとても繊細な部分に触れ、実に分かりやすく、そしてもっと深く考えさせられるように描かれています。
読めば読むほど、この繊細な部分に引き込まれ、著者の表現によって、読者に伝わってくる、この問題の深さを感じることが出来ます。
「正欲」を読んで!まとめ
本作品は、読んだ感想を書くことがとても難しいと感じる作品でした。
なぜ難しいと感じたか、それはこの作品で扱われているテーマ、内容が非常にデリケートなものであること
そして著者が作品の中で描いていること、読者に伝えたかったことを感じることが出来ても
それをここで、私の書き方でうまく表現することが出来ないのではないかと不安に思ってしまったからです。
本作品は、先ほども書きましたが、肯定的な考えで傑作とされるか、否定的な考えで問題作とされるか
読む人によってその意見や感想が、大きく両極端に変わってくると思いました。
しかし、この作品はどちらの評価になろうとも、私的にはほんとうに読んでよかったと思える作品でした。
作品の中にある1つ1つの言葉をしっかりと受け止め、その言葉の意味を自分なりに考え、そして感じながら読み進め、どんどん作品に引き込まれていきました。
これほど繊細なテーマを、繊細でありながら大胆に描き、読者の心に、それをガンガン伝えてくる。
私は肯定的な気持ちで傑作だと感じました。
ただ「面白い作品」という単純な表現では、いい表すことが出来ないと感じる、深くそしていろいろな要素を持った作品だと感じました。
読書記録として分析・評価していますが
本作品を読み終えて、まだ狭い想像しか出来ていない、狭い想像の世界で生きてきた自分が評価していいのか、できるのかと
これほど評価することを迷った作品はありません。
私が知らなかった、想像できてなかった世界を知り、本作品を読む前と読んだ後で、自分の変化をしっかりと感じることが出来ました。それほど自分自身に衝撃を与えてくれた作品です。
まともな人間だったらまず被害者とかその親に謝罪って思うでしょう。そうならないってことは、まともじゃないんですよ。
「正欲」朝井リョウ P.353
この引用部分にもある「まとも」という言葉に対して、読了後の私は、とても違和感を感じるようになりました。
「まともって?」そう反応してしまうようになったのです。
「まとも」とは、その人が想像できる範囲内のことであって、勝手に「まとも」だと思い込んでいるだけ。
本作品中には、このように読者が思わず自分の考え方や感じ方に対して、違和感や、疑問を持ってしまう。
深く考えさせられてしまう言葉が多く出てきます。
著者の気迫がガンガン読者の心に投げ込まれてくる感じでした。
この作品を正確に伝える力が私にはありません。
本作品は、読んだ人がそれをどう感じるか、その感じ方は実に様々で、それこそが多様性と言われることだと感じました。
この作品は、賛否両論あるかもしれませんが、「是非読んでみてください!」と言いたくなる作品です。
「正欲」とは何なのか、「正しい欲」。
自分たちが狭い考えの中で思っている「正欲」。
それとは別の「正欲」が、「欲」というものが「多様性」という言葉で表現できるのか。
この世の中に人間がいる限り、存在してはいけない感情などない。
存在してはいけない人間などいない。
「正欲」SNSでの反応!
SNSに投稿されている「正欲」に関する投稿を見つけましたので掲載しています。
沢山の投稿がありましたが、その中から心に残った投稿を掲載させていただきました。
Twitterでの反応!
ツイッターでも「正欲」に関するたくさんの投稿があります。
本書の魅力がよくわかります!
自分にとっての「正しさ」は誰かにとっての「暴力」にもなりうる。
たとえ共感できなかったとしても、否定しないで相手の価値観を受け入れる。自分の価値観を押し付けない。
人の話を聞くときは心掛けたい😊#読了 #正欲#朝井リョウ #読書好きな人と繋がりたい pic.twitter.com/cDKctWuIQz— ゆみ (@yu__min22) July 18, 2021
朝井リョウ『正欲』読了
人間の根幹とも言える性欲。その対象が、あまりにも特殊だったら‥‥そんな孤立感を抱えて生きていくことがいかにきついものであるか。色々な映画でいわゆるマイノリティの人々の人生模様を垣間見てきたつもりではあったが、あまりの闇深さにけっこうショックを受けています pic.twitter.com/31PxDbHfx3
— 風花 (@lazulinerain) July 12, 2021
Instagramでの反応!
Instagramでも多くの方が「正欲」について読了後の感想を投稿されています。
画像とともに、深い感想を投稿されています。
ご興味のある方は是非ご覧になってください。
本作品を読まれた方たちの多くが、この作品の感想を書くときに
どう書けば伝わるのかを悩んでいます。
とても繊細で深い作品だと改めて感じます。
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「正欲」を読んでみたくなったらコチラ!
「正欲」を映画で楽しみたい方!
この度、この「正欲」が2023年11月に映画化さ公開されました!
原作である小説を読んでいた私としては、この作品をどうやって映像で表現するのかと、とても楽しみにしていました。
原作を読む時間がないけど、この作品を感じてみたいと思う方は是非映画を観てみてください。
稲垣吾郎・新垣結衣・磯村勇斗・佐藤寛太・東野絢香など豪華キャストで楽しめます!
映画「正欲」公式サイトはコチラ!
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