「流浪の月」
あなたは何も悪くない、あなたと一緒にいたいの
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- ジャンル:小説
- 本の種類:文庫本
- 著者名:凪良 ゆう
- 出版社:東京創元社
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- ジャンル:小説
- 本の種類:文庫本
- 著者名:凪良 ゆう
- 出版社:東京創元社
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「流浪の月」のあらすじ
あなたと共にいることを、世界中の誰もが反対し、批判するはずだ。
わたしを心配するからこそ、誰もが私の話に耳を傾けないのだろう。
それでも文、わたしはあなたのそばにいたい―――。
再会すべきでなかったかもしれない男女がもう一度出会ったとき、運命は周囲の人を巻き込みながら疾走を始める。
新しい人間関係への旅立ちを描き、実力派作家が遺憾なく本領を発揮した、息をのむ傑作小説。
※表紙より引用
事実と真実の違い
本書は、実に今の世の中のことを描いていると感じました。
事実と真実の違い。
この言葉がとても心に響きました。
事実とは実際に起こったこと。そして真実とはまさに本当のこと。
この小説の中で描かれている起こった出来事の事実。
そして、小説の中に出てくる人たちの中に秘められた真実。
自分たちの中にある真実とは違うことが世の中では真実になってしまうという切ない現実。
それは当事者ではない人々の勝手な分析や憶測によって度々起こります。
まさに今の世の中であると感じました。
起きたことを当事者ではない人々がSNSに書き込み広まり、当事者が追い付けないような早さで、それが真実であるかのように広がってしまう。
まさにそんな現代に起きている状況をリアルに描いていると思いました。
「流浪の月」を読んで!まとめ
本書は、2020年本屋大賞を受賞した作品ということで、読み始める前からかなり期待して読みました。
そしてその感想としては、さすが本屋大賞作品!と思える作品で、本の世界にグッと引き付けられてしまい一気に読み終えてしまいました。
しっかり読んだと思うのですが、ぐいぐい読み進められたので、かなり短い時間で読み終えたと感じています。
複雑な内容なのに、頭にすっと入ってきます。
状況を思い描きやすいので、かなり記憶にも残っている作品になりました。
先ほども書きましたが、本書はまさに今の世の中で起きていることをリアルに描いていると思いました。
他人のことを勝手に分析してそれをSNSに投稿し、そこで討論が始まる。
当事者がいない討論会。
そこには討論する人もいれば、投稿してあとは知らん顔。
投稿したことすら忘れている人もいます。
犯罪を犯した加害者、そして被害者のどちらに対しても同じように分析・評価して憶測を書き込む。
その憶測がどんどん真実かのように広まっていく。
もちろん犯罪を犯した人間は悪いが、その犯罪以外の事まで、広げられる。
そして被害者に対しても、勝手に分析して勝手に可哀そうな人間というイメージを植え付けてしまう。
被害者が一体何に対して本当に悲しいと感じているのかを理解しようともせず
優しさという名の勝手な憶測。勝手に作り上げられた善意。
そんなものでは被害者は救えないのだと感じました。
事実と真実は違う。
まさにその通りであると感じました。
人には優しさがあります。
確かにその優しさは大切で、その優しさを求めている人もいます。
しかし、その優しさも間違ってしまうと人を傷つけるものになる場合があるのだとわかりました。
そしてSNSに投稿されたことは、デジタル・タトゥーといわれるように完全に削除することが難しく、加害者や被害者はいつでもその時に連れ戻されてしまうということ。
どんなに当事者が忘れたくても、何かの拍子に、過去のことを持ち出されてしまうという怖さ。
インターネットという技術を手に入れ、それを活用していく。
で便利ではあるけれど、多くの事を犠牲にすることもあるのだと感じました。
このように事実と真実との違いをリアルに描いた本書では、最終的に当事者たちはある考えに辿り着き、自分たちの安心できる生き方を選びます。
その辿り着いた生き方に、そしてその描き方に、とても温かくて安心感を持ちました。
最後の最後まで、グッと感情移入できる作品でした。
あなたは何も悪くない、あなたと一緒にいたいの
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- ジャンル:小説
- 本の種類:文庫本
- 著者名:凪良 ゆう
- 出版社:東京創元社
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- ジャンル:小説
- 本の種類:文庫本
- 著者名:凪良 ゆう
- 出版社:東京創元社
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