言葉の余白に込められた本当の思いとは?
【告白の余白】

読書感想小説人生・人間ドラマサスペンス

「告白の余白」

告白の余白_下村敦史
告白の余白_下村敦史

言葉にある余白、その余白を読み取る
そこにある真実、言葉の繊細さが分かる

告白の余白_読書記録
告白の余白_読書記録

「告白の余白」を読んで

タイトルや表紙からは想像できませんが、この作品は京都を舞台にした小説です。
第7回京都本大賞候補になった作品で、京都の雰囲気や京都の人の特徴
特に京都の言葉の特徴を表現しながら物語は進んでいきます。

あらすじ

物語の始まりは、主人公の双子の兄が地元に帰省して、ある日突然、謎の言葉を残して自殺をしてしまうということから始まります。

残された双子の弟(主人公)は、兄が残した言葉の意味を探るために、兄が生前に過ごしていた「京都」へと向かい、その言葉の意味、その真相を明らかにしようと自ら京都で生活することを始めます。

京都で過ごす主人公は、やがて少しずつ京都の独特な雰囲気、京都の人たちの「言葉」の不思議・深さに引き込まれ、そこで兄を知る人たちと出会い、そしてその中で特に双子の兄の言葉に登場したある女性に出会い、惹かれていきます。

そして京都という土地で見つけた兄が残した言葉に込められた本当の意味とは。

京都という土地の不思議な魅力、言葉に秘められた心

京都を舞台としたこの物語は、物語の中で、京都という土地の独特な雰囲気や、そこに住む人たちの「言葉」に込められた独特な表現を描いています。
私も実際に京都を旅したことがありますが、京都というところは他の土地とは少し違う雰囲気を持っていると感じます。
本作品では、この京都という土地の特徴について
京都に行ったことがない人でも、その独特な雰囲気を感じることができるような描き方になっています。

更に、京都という土地の長く、そして深い貴重な歴史、文化を感じさせてくれます。

京都という土地の特徴として
作品中の数か所で、閉鎖的で本音を話さないという、一見よくないイメージを持たれるような表現をされていますが
その特徴は、他人への気遣いであったり、控えめな慎ましさ、という表現ともとることが出来ます。

そんな京都の土地とそこに住む人の雰囲気の中で
主人公はその京都という場所に、自分の双子の兄が生活していたという足跡を感じ
兄はこの土地で一体何をしていたのか、どんな生活を送っていたのか
兄が最後に残した言葉の意味を明らかにするために、主人公自らもその京都で過ごすことにします。
そしてその京都で過ごしているうちに、京都という独特な土地の魅力に惹かれていくことになります。

よそ者を寄せ付けないという京都の雰囲気
しかしそこには、歴史と伝統という簡単には語れない「時」が生んだ独特な重さ、深さがあり
本来日本人が持っている性質が京都という土地には今でも残っているのではないかと感じました。

京都の人たちが話す「言葉」には
その言葉をそのまま受け取っていいのかと考えてしまうことがあります。
そこには何らかの裏があるのか、優しさがあるのか。
言葉の中にある「余白」、そこに込められた本当の言葉の意味、心の表現。

同じ言葉でも、前後の言葉の違いや、その時の雰囲気、タイミングなど
「言葉」というものは聞いたままの言葉が、言った人の本心を表現しているかは分からない。
本作品では、京都という場所での
言葉というものの大切さはもちろん、そこに秘められた言葉の深さ、繊細さ複雑さを描いています。



「告白の余白」を読んで!まとめ

本作品は全体を通して、すごく繊細な作品だと感じました。
それは京都という土地が持つ独特な雰囲気、特徴と、言葉というものを表現していたからだと思います。

京都という土地を舞台に物語は進み、京都の土地、そこに住む人、そして京都の歴史、文化を感じることが出来るように描かれており、京都に行ったことがないという人でも、その雰囲気をイメージすることが出来ます。

京都の閉鎖的な部分が描かれながら物語が進みます。
しかし、その京都の閉鎖的と感じられている部分は、実は本来日本人が持っている人を思いやる気持ち、優しさ、慎ましさ、などが京都という土地ではまだ残ったままになっているのだと感じました。
それは歴史とともに消え去るのではなく、大切に守られ、そしてやがて、京都の独特な雰囲気になったのではないかと感じました。

閉鎖的、確かに表面上だけ見れば、それはそう感じてしまう場合もあるかもしれません。
しかし、私は実際に京都を旅したときに、感じたのは、優しさだったような気がします。

そこには、京都とという土地に住む人たちの、とても繊細で、深く優しい心があるのではないかと感じました。

本作品で描かれる「京都の人の言葉」。
その言葉には余白があり、その余白をどう受け取るか、自分自身がどう感じながらその言葉を聞き、そこに含まれた「余白」をどう読み取るかで、その言葉は嫌味になったり優しさになったりと、色々な意味を表す。
言葉というものの深さ、難しさを改めて感じました。

京都という町を舞台にして、京都の人の話す言葉として、「言葉」が描かれていますが、この言葉は、本来日本人が持つ言葉、持っていた言葉と言った方がいいのかもしれません。
日本人が使っていた言葉が持つ本当の魅力、難しさであったり、繊細さ、深さ、そういったものが1つの文化として、今でも大切に受け継がれ、残っているのが京都であると思いました。

言葉の余白を読み取る、その読み取り方で、その言葉は色んな姿に変化する。
複雑であるが、魅力的な言葉を使っている日本人。日本語の深さと日本人の心を感じる作品でした。

言葉で思いを伝えるのは、簡単そうで実はとても難しい。
言葉という道具をもっと繊細にその奥深さを活かせるような使い方が出来れば、人との会話はもっともっと魅力的なものになるのではないだろうか。

「告白の余白」SNSでの反応!

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コメント

  1. わお より:

    ページ内の著者名が違いますよ‹‹\(´ω` )/››

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