《感想》◆星を掬う◆
母が娘のために選んだ生き方とは!その真実に涙する

読書感想小説人生・人間ドラマ泣ける・感動

「星を掬う」

星を掬う:町田そのこ
星を掬う:町田そのこ

たとえ家族でも、親子でも、母が選んだ生き方とは。
なぜ母は私を捨てたのか その本当の理由を知った時、思い出の本当の意味がわかる。

2022年本屋大賞ノミネート作品!

星を掬う_読書記録
星を掬う_読書記録

2022年 本屋大賞 第10位!

「星を掬う」について

2021年の本屋大賞を「52ヘルツのクジラたち」で受賞した町田そのこ先生の受賞後の第一作目!本作品「星を掬う」も現在のところ2022年の本屋大賞のノミネート作品に選ばれています。

前作もとても素晴らしい作品だと思える作品で、町田そのこ先生の次の作品を楽しみにしてました。そこでこの「星を掬う」が出版され、迷わず読んでみました。

感想を書く前に一言で言うと、「素晴らしい作品」です。

あらすじ

幼い頃に両親の離婚を経験して、母親に捨てられたと思い生きてきた主人公が、母との思い出をあるラジオ番組に投稿します。その投稿を聞いていた、母を知っているという人から連絡があり、母と会うことに。自分の私生活はというと結婚したが夫の暴力に耐えきれなくなり離婚するが、その元夫からの執拗な金銭の要求と暴力におびえる毎日を過ごしていました。

その恐怖から逃れるために、母が住む家で一緒に住むことになります。そこで見た母の姿は、自分が描いていたものとは違う姿でした。そこで一緒に暮らすようになったのだが、母がどうして自分を捨てたのか、そして捨てたことの後悔や罪悪感はないのかと悩み続ける毎日を過ごすことになります。

自分の人生がうまく行かなくなったのは母がいなくなったせいだと思って生きてきた娘は、母と暮らすようになって何を感じていくのか、母がいなくなった本当の理由とは、その時の気持ちとは一体どんなものだったのか。母との毎日の生活の中から、母と娘のそれぞれの思いが徐々に見えてくるようになります。

母と娘が辿り着いた人生とは、その答えとは。

「星を救う」を読んで

前作でも同じように感じたのですが、町田そのこ先生の文章による心情の表現、口には出さないけれども、こう考えて行動していたんだという深いところの人の気持ちの表現の仕方がとても絶妙で好きです。

作品中に登場する人々の深い思い。見せている性格や言葉とは違う、でもその言葉には本当の思いが滲み出ていることを感じさせる言葉を絶妙に織り込んでいる。あの時の言葉には、実はこんな意味があったんだと、言葉の伏線をあとで感じさせてくれるうまさがあると感じています。

物語の背景としては、夫の暴力などによって追い込まれるという読んでいて辛くなるような状況が描かれていますが、その絶句するような状況から、徐々に立ち上がろうとする様子、強くあろうとする姿、周りの支えなど、周りの環境が、酷い暴力とは反対の優しさへとゆっくりと変化していく。

その変化によって、主人公の心がゆっくりとゆっくりと歯を食いしばって前を向こうという気持ちへと変化していく。この絶妙な変化のちょうどいいゆったりさに、読者はぐんぐん引き込まれていきます。主人公が感じているであろう気持ちを、読者が同じように共感しながら変化していくのです。ここのなんとも言えない感動を感じることが出来ます。

現実で起こりうる、起こっていることを題材にしているので、主人公が経験していることを読者が自分の身近に起きていることのように感じることができ、読みながら支えてあげたくなる、応援したくなっていきます。もちろん自分もその経験をする可能性があるという題材なので、更に同じように感じていく事が出来ます。

本作品では特に、母と娘の関係、そして愛情の表現について書かれています。母に捨てられた娘、そして母を捨てた娘。 お互いの当時の本当の気持ちを知らないまま長い間離れてしまったその関係は、長い時間でひどくもつれてしまい、修復したいのだけど、その方法が分からない。そして本心も分からない。

「謝るのって、許すことを強要してるんですよ。」
P.41

関係を修復するためにはただ謝罪すればいいということでもない。ただ謝ることで、許さざるを得なくなる。まさに許すことを強要しているのです。そこにはわだかまりがずっと残ります。この言葉にもとても深い意味が込められていると感じました。

謝るだけでは修復することが出来ないその関係が、本作品では徐々に修復されていきます。この絶妙な流れの表現が秀逸です。

自分の受けている理不尽をひとにーーーそれも自分を心配してくれるひとにぶつけるなんて、最低だ。でもどうしても浅ましい感情が消えない。彼女の持つ豊かさが、妬ましい。
P.135

自分は不幸な人生を送ってきた、それは私を捨てた母親のせいだ。そんな彼女は、周りの人間から優しさを受けます。でも、どうしても消えない、自分の浅ましさ。最低だと分かっていても、どうしてもその感情が消えない。そして彼女はその浅ましさを、客観的に見ることになります。そして彼女は、自分がいかに幼い感情で生きてきたか、そのことに気付きます。そして彼女は、徐々に変わっていくのです。

誰でも一度は感じたことがある自分の浅ましさや妬み。この感情に気付けない時は何も変われません。しかし、客観的に見ることで、その愚かさに気付くことになります。本作品でも、本当に自分がそれを見ているような感覚で、その浅ましさ、愚かさを感じ、イライラしている自分に気付きました。

そして彼女が辿り着いた感情は。

「あのひとのせいにして思考を止めてきたわたしが、わたしの不幸の原因だったんだ」
P.242

このことに気付いた彼女は徐々に母親の気持ちを理解し始めます。ここへたどり着くまでの彼女の心情の変化や成長。それを感じながら、一方で母親の行動の意味が徐々に理解できるようになっていきます。読者も一緒に感じていたであろう、母親の行動の違和感。その違和感の意味が徐々に本当の意味の理解へと変化していきます。

「自分の手でやることを美徳だと思うな。寄り添いあうのを当然だと思うな。ひとにはそれぞれ人生がある。母だろうが親だろうが、子どもだろうが、侵しちゃいけないところがあるんだ」
P.267

わたしの人生は、わたしのものだ!
P.308

これらの言葉の本当の意味。深い意味を理解できた時に、何も反論することが出来なくなりました。

相手のことを思ってやっていることでも、その相手にとってみては迷惑なこともあるのです。優しさを押し付けるようなことになれば、それは優しさとは違ってきます。辛そうにしている人を見ると、「かわいそう」、「大丈夫?」という言葉が出てきます。確かにそれは優しさの感情から生まれています。

でも可哀そうと言われたひとは、それを素直に喜べない場合もあるのです。そう思われたくないと思っている人もいるのです。

優しさの表現には人それぞれあります。同じように優しさを受ける側にも、色々な受け方、感じ方がある。本作品では、この微妙化関係、距離感を実に優しい愛情に包まれたままで表現し、読者に分からせてくれます。

町田そのこ先生の巧みな文章をじっくり感じることが出来る名作だと感じました。



「星を掬う」SNSでの反応!

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沢山の投稿がありましたが、その中から心に残った投稿を掲載させていただきました。

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今回当ブログで紹介させていただくことを許可していただきありがとうございました。
」さん、「さこ」さん!
今後も投稿楽しみに拝見させていただきます。

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[st-user-comment-box title=”星を掬う” user_text=”町田 そのこ 評価” color=”” star=”4″]日々是読書旅[/st-user-comment-box]

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2021年本屋大賞受賞作品!「52ヘルツのクジラたち」

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