これまで読んだ小説の感想を公開!

小説

彼の証言に感じる「違和感」。その違和感の理由は切ない罪と罰
【白鳥とコウモリ】

守りたかった。ただそれだけ。だから嘘をついた。しかし、その嘘が事態を思いもよらぬ方向へと向かわせてしまった。優しさからついた嘘が罪なのか、その罪に与える罰は。真実が明らかになった時に白鳥とコウモリは果たして一緒に空を飛べるのか。その過ちは断罪させるべきなのか。東野圭吾氏の世界を存分に感じることが出来る作品です。
小説人生・人間ドラマサスペンス読書感想
東野圭吾幻冬舎
読書感想

その世界は本当に消えてしまっていい世界なのか
【消滅世界】

夫婦間のセックスがタブーとされ、家族という形も大きく変わってしまう未来の世界。今の世界を生きる私たちの感覚でこの作品をどう受け入れ、どう読むか。私たちが住むこの世界がこうなってしまうのか。消滅する世界を完全に消滅させることが出来るか。人間の本能と人工的な変化の静かな葛藤が描かれる。人間はどう順応していくのか!
読書感想小説心情・思想
村田沙耶香河出文庫
小説

理解しなくていい、ただそっといておいて欲しい
【正欲】

理解してほしい訳じゃない。ただそっとしておいて欲しい。想像できないことはこの世の中に多く存在しているということを思い知らされる作品。今までの自分の中の考えを新しい考え方へと導く作品。肯定的な傑作と捉えるか、否定的な問題作だと捉えるか、現代の多様性が網羅できていない世界の存在を知ることになる。
小説心情・思想読書感想
本屋大賞朝井リョウ新潮社
読書感想

あの人が僕を人間に戻してくれた。
【告解】

飲酒した上に人を轢いて逃げてしまった。その罪を償う刑期を終え出所してきた男性は、それからの人生をどう生きるか、生きるためには被害者の家族と会うべきなのか、自分は罪を償えたのか、罪を償うということがどういうことなのか、それを理解して分からせてくれたのは、ある意外な人物だった。罪を償うということを考えさせられる作品。
読書感想小説事件・裁判人生・人間ドラマサスペンス
薬丸岳講談社
読書感想

運命を狂わされた二つの同じ顔
【双頭の鷲は啼いたか】

電子書籍で読むおすすめの小説!「双頭の鷲は啼いたか」樹亜希さんの作品!3篇からなる短編集。偶然の事故で出会ってしまった同じ顔を持つ二人。彼らの人生が思いもよらぬことの発覚で大きく狂ってしまう!二人を出会わせたのは神の気まぐれか、それとも運命だったのか。予想外の展開が読み手を引き込む!
読書感想小説サスペンス
樹亜希幻冬舎
読書感想

私の推しがファンを殴って炎上しました・・・
【推し、燃ゆ】

第164回芥川賞受賞作品!2021年本屋大賞9位の入賞!話題の「推し、燃ゆ」の読書感想文です。現代の推しとファンの関係、ファンの少女の心情の変化を実にリアルにそして、テンポのいい文章で描いていく。まさに現代のリアルを細かく忠実に表現した作品だと感じました。納得の表現力で読者をその世界に引き込みます!
読書感想小説人生・人間ドラマ心情・思想
宇佐見りん河出書房新社本屋大賞芥川賞
読書感想

私の居場所は、こんなところにあったんだね。
【夜空に泳ぐチョコレートグラミー】

「52ヘルツのクジラ」で本屋大賞を受賞した町田そのこさん。その先生の名作「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」を読みました。人がこの広い世界で生きていく事の難しさ、でもそこで生きていこうと前向きになる気持ちを持たせてくれる作品。本屋大賞受賞作家さんが送る登場人物の心理描写、そして人間関係のその表現が実に魅力的な作品です!
読書感想小説人生・人間ドラマ
町田そのこ新潮文庫
小説

あの時のわたしは、52ヘルツの声をあげていた。
【52ヘルツのクジラたち】

「52ヘルツのクジラ」、そのクジラは「世界で最も孤独なクジラ」と言われています。幼い頃から親からの虐待をうけ孤独な時間を過ごしてきた二人。その二人にしか分からない。心の奥から発せられる声。その声を受け止める難しさ、その言葉を発する難しさ。悲しさの中から前を向こうともがく人の強さが分かる作品。2021年本屋大賞。
小説人生・人間ドラマ泣ける・感動読書感想
本屋大賞町田そのこ中央公論新社
読書感想

言葉の余白に込められた本当の思いとは?
【告白の余白】

故郷に帰ってきた双子の兄は、ある言葉を残して自殺してしまう。その兄が亡くなる前に過ごした「京都」。そこには歴史を重ねた、その土地の独特な雰囲気と「言葉」があった。そこで出会うある女性。そしてあの言葉に含まれていた「余白」の本当の意味とは一体!言葉が持つ繊細さや奥深さを改めて感じることが出来る作品。
読書感想小説人生・人間ドラマサスペンス
下村敦史幻冬舎文庫
ミステリ―

冤罪を晴らす!「階段の記憶」その記憶に秘められた意味とは!
【13階段】

死刑が確定した彼には事件の記憶がない!果たして彼は本当に犯人なのか、その事件の真相に迫る!そしてその事件の真相がみえてきたとき、見えてきたもう1つの事件との関係!そこには仕組まれた「復讐」の思いがあった!多くの謎が絡み合った二つの事件の真相、そしてその関係が明らかになる!思わずうなってしまう結末に大満足の作品!
ミステリ―読書感想小説
映画化高野和明江戸川乱歩賞講談社文庫
読書感想

大切な家族を守りたかっただけなんだ、ただそれだけだった
【青の炎】

青年はただ、大切なものを守りたかっただけ・・・その正義が、青年を悪の道へと向かわせる。彼にはそうするしかなかった。そうやって守るしか方法がなかった。1つの過ちが、彼を2つ目の過ちへと導いてしまう。そのあまりにも切ない犯罪者に自分ならどうしただろうと考えさせられるミステリー作品!
読書感想小説サスペンス
貴志祐介角川文庫映画化
読書感想

一目惚れした彼女は、僕が助けるまだ見ぬあの娘
【ぼくは明日、昨日のきみとデートする】

一目惚れした彼女は、これから僕が助ける、まだ会ったことのない、あの娘だった。不思議な世界で繰り広げられる恋愛。その切ない結末にジンとします。切ない恋愛小説を読んでみたいという方にはおすすめの1冊です。ベストセラー100万部を突破した人気恋愛小説です。
読書感想小説恋愛
七月隆文宝島社
読書感想

真夜中は、なぜこんなにきれいなんだろう
【すべて真夜中の恋人たち】

真夜中は、なぜこんなにきれいなんだろう。明るさがなくなり、その中でそっと輝く光。儚い光の美しさを、イメージしながら、人間関係や恋愛に不器用な女性が一生懸命気持ちを感じようとするその姿に感動できる作品。触れたら壊れてしまいそうな彼女の心の繊細さ。その変化を実に細かく描写された美しい作品でした。
読書感想小説恋愛
講談社文庫川上未映子
読書感想

「わたしはあんたたちを絶対許さない」
【贖罪】

「わたしはあなたたちを絶対許さない」。幼い少女たちに投げつけられたこの言葉は、彼女たちの人生を負の連鎖へと向かわせる。人生を狂わされた少女たち、そして娘を殺された母親。本当に「贖罪」をしなければならないのは少女たちか、母親か、それとも・・・。その真実を知った時、その真実の悲しさと贖罪の本当の意味が分かる。
読書感想小説サスペンス
湊かなえ双葉文庫
読書感想

その圧倒的な魅力の前に人は自分の行動を制御できるか
【銃】

人は圧倒的な魅力に出会った時、自分の変化をどう受け止めていくのか。越えてはいけないラインがあったはずなのに、そのラインを越える理由を探すその心理。誰にも言えない思考を頭の中で廻らせながら、その行動を正当化していく、正当化されたその魅力に人は抗うことができるか。その魅力に支配された人間が最後にとった行動とは。
読書感想小説心情・思想
河出文庫新潮新人賞中村文則
読書感想

言葉が持つ力、魅力を改めて知ることになる
【本日は、お日柄もよく】

私たちが日常的に使っている「言葉」。話したり聞いたり、書いたり読んだり。本書ではこの言葉の持つ力。言葉が時には世の中を動かすことがあるということに焦点を充てて物語が描かれています。言葉が持つ魅力的な力を改めて知ることになる一冊です。自分たちが話す言葉の大切さを感じましょう。
読書感想小説人生・人間ドラマ泣ける・感動
原田マハ徳間文庫
読書感想

普通じゃない、だから異物。普通って何ですか?治すって何を?
【コンビニ人間】

コンビニで働く女性。彼女は周りから「奇妙な子」と言われながら育ってきました。彼女は家族のために、普通に生きようと自分を隠して生きています。コンビニで働く、そこでは自分が周りと同じように普通と思われている。そう思わせることが出来る。でもここで思う。「普通って何ですか?」読者がこの問いの答えを考えることになります!
読書感想小説人生・人間ドラマ
村田沙耶香本屋大賞文春文庫芥川賞
読書感想

心を許したたった一人の友人には知らないもう一つの顔があった
【影裏】

信じて心を許した親友。その親友が突然姿を消した。その親友を探していくうちに、親友には知らないもう1つの顔があった。親友にもし知らない顔があったとき、人はその事実にどう向き合うのか、読者はその答えを考えることになる。芥川賞受賞作品「影裏」人間関係について深く考えさせられる作品です。
読書感想小説ミステリ―人生・人間ドラマ
文春文庫芥川賞沼田真佑
読書感想

暴力に支配された辛い記憶、それでも生に向かい、そして見た光
【土の中の子供】

幼い頃に大人による壮絶な暴力を受けた子供、その子供は大人になりながら、記憶の中にある、心に残る暴力の記憶と向き合いながら生きる。暴力を受けた若者の心を実に繊細に描く作品です。暴力がどれほど人の心を乱し、壊し、支配していくか、その中でも希望という光を見つける。深く考えさせられる作品です。
読書感想小説心情・思想
中村文則新潮文庫
読書感想

なぜ息子はあの時、母の思いと息子の本当の姿とは!
【あの日、君は何をした】

ある事件に巻き込まれ、少年が命を失う。その死に母親はずっと「なぜ」という感情から離れられない。あの時なぜあの子は・・・そしてどうして今自分は・・・・そして長い年月が過ぎた時、ある事件をきっかけに、2つの事件の関連が見えてくる。そこに疑問をぶつける刑事の存在。そして事件の真相が見えてくる。しかし、真相はそれだけでは・・・
読書感想小説サスペンス
まさきとしか小学館文庫